「かすみがうらマラソンは平坦で走りやすい」——そう聞いてエントリーしたのに、後半の湖岸で脚が止まった。そんな話を毎年のように耳にします。実際、コース高低図で公開されている数値は最低標高2m・最高標高28m、その差はわずか26mです。数字だけ見れば、たしかに平坦な部類に入ります。
それでも失速する人が出るのは、この大会のコースが「前半は内陸の台地、後半は霞ヶ浦の湖岸」という性格の違う2つの区間でできているからです。坂は3か所に集中し、後半14kmは吹きさらし。さらに関門は2か所、ゴール制限時間は16時(6時間)と決められています。つまり、平坦かどうかではなく「どこで脚を使い、どこで守るか」を先に決めた人が完走するコースです。
この記事では、公式サイトが公開しているコース情報・エイド配置・関門時刻をもとに、42.195kmを5つの区間に分けて攻略手順を整理します。読み終えるころには、自分のスタートブロックに合わせた通過タイムまで決まっているはずです。
・前半台地・後半湖岸というコース構造と、坂が集中する3か所の正確な位置
・17km・28.5kmの関門時刻をキロ何分ペースに翻訳した早見表
・14か所ある給水所の位置と、5kmも空く「補給の空白区間」の埋め方
・会場アクセス・送迎バス・参加賞まで、当日の動線チェックリスト
かすみがうらマラソンコースは「前半台地・後半湖岸」の2階建て

スタートは土浦駅から徒歩5分の川口運動公園
フルマラソンの発着点は、茨城県土浦市の川口運動公園J:COMフィールド土浦です。1周400m・8コースの陸上競技場を中心とした運動公園で、公式アクセス情報ではJR常磐線「土浦駅」下車、徒歩約5分と案内されています。首都圏から電車で行ける会場としては珍しく、駅から歩ける距離にゴールがあるのが大きな利点です。
フルマラソンのスタートは9時45分。10マイルが9時20分、5kmが10時30分と時間差で発走するため、会場は朝から段階的に混み合います。フルにエントリーしている人は、10マイルのスタートを見送るくらいの余裕を持って会場入りすると、荷物預けとトイレの列で慌てずに済みます。
注意したいのは、スタート地点の標高が霞ヶ浦の水面に近い低地だという点です。競技場を出た直後から台地へ向かって上っていく構造なので、「スタート直後は下り基調」という多くの都市型マラソンの感覚は通用しません。号砲直後にペースが上がりやすい人ほど、最初の1kmは意識してブレーキをかける必要があります。
中間点はかすみがうら市歴史博物館先、そこから湖岸へ
大会公式の要項では、コースは「川口運動公園周辺をスタート・ゴールとし、かすみがうら市歴史博物館先を中間点とする湖岸周回コース」と説明されています。つまり21km付近までが往路で内陸側、そこから折り返すように霞ヶ浦の湖岸へ出て復路を戻る構成です。
この構造が意味するのは、「景色が変わるタイミング=脚のダメージが出るタイミング」が一致するということ。中間点を過ぎて視界が開け、目の前に霞ヶ浦が広がる瞬間は、この大会でもっとも気分が上がる場面です。ところが同時に、そこから先は日陰も風よけもほとんどない直線区間が続きます。テンションが上がってペースを上げた結果、30km手前で失速する——というパターンは、この視界の変化が引き金になっています。
対策はシンプルで、中間点通過時のラップを事前に決めておくことです。景色ではなく時計で判断すると決めておけば、湖岸に出た瞬間の高揚感に流されにくくなります。逆に、序盤で目標より2分以上遅れているなら、湖岸区間で無理に取り返そうとしないほうが結果的にタイムはまとまります。
霞ヶ浦そのものを走る距離感を知りたい人は、湖岸を一周した場合の距離と補給事情をまとめたこちらも参考になります。

「霞ヶ浦を一周走ってみたい」——地図でぐるりと湖を眺めて、そう思ったランナーは少なくないはずです。でも調べ始めると距離の数字がバラバラで、「結局何km走ればいい…
高低差26mを「フラット」と読むと足をすくわれる
コース高低図で公開されている数値は、最低標高2m・最高標高28m・高低差26mです。フルマラソンの高低差としては小さい部類で、山岳系のコースとは比較になりません。ただし、この26mが42.195kmに均等にならされているわけではない点が重要です。
百科事典的な解説では、このコースは「前半が台地状、後半が湖岸近くであり、それぞれの領域には高低差がほとんどなく、目立った坂は台地への上り下りの20mほど」と整理されています。つまり平坦な面が2枚あり、その2枚をつなぐ段差が数か所あるだけ、という地形です。段差の位置さえ把握しておけば、そこだけ意識的にペースを落として、残りは淡々と刻めます。
デメリットも正直に書いておくと、この「段差型」の高低差は高低図をぱっと見たときに緩やかに見えてしまいます。実際には短い距離で20m前後を一気に上下するため、体感の負荷は数字以上です。高低図を見て「ほぼ平坦」と判断し、坂の練習をせずに本番を迎えた人が、2km地点で早々に心拍を上げてしまうのがよくある入り方です。
コース高低図の公開値は最低標高2m/最高標高28m/高低差26m。一方でコースの地形は「前半=台地」「後半=湖岸」の2つの平坦面に分かれ、その間をつなぐ坂は20m前後。高低差の総量ではなく、坂が集中する位置で難易度が決まるコースです。(出典:かすみがうらマラソン公式 コースページ/コース高低図公開値)
序盤10kmで完走が決まる3つの理由
2km地点の約400mの上り坂で心拍が跳ねる
大会公式の攻略コラムは、最初の難関としてスタート直後2km地点の坂を挙げ、「約400mにわたる長い上り坂」と説明しています。ここは低地の会場から台地へ上がる区間で、コース全体でも指折りの負荷がかかる場所です。
問題は、この坂が号砲からわずか2kmという位置にあることです。まだ体は温まりきっておらず、周囲のランナーも速い。ここで周りに合わせて同じペースのまま上ると、心拍だけが先に上がり、その後の10kmで呼吸が整わなくなります。公式コラムのペーサーも「上り坂も無難に越えていって、後半に崩れないように」と繰り返しています。
具体的には、平地の目標ペースより1kmあたり20〜30秒遅くする配分が現実的です。400mの坂で30秒遅れても、失うのは12秒程度。一方でここで無理をして心拍が上がりきると、その後の回復に5km以上かかります。サブ4を狙う人でも、この坂だけはキロ6分台に落として構いません。上り切ったあとの台地区間は平坦なので、そこで自然に戻せます。
ウエーブスタートでも序盤の渋滞は避けられない
フルマラソンの定員は14,000人。大会公式のよくある質問では「2〜4のグループに分けて、5分おきにスタートすることを予定」というウエーブスタート方式が案内されています。分散させる工夫はあるものの、1つのウエーブに数千人が入る計算なので、序盤の道幅では思うように進めない場面が出ます。
ここで起きがちなのが、渋滞を嫌って左右に振れながら追い抜きを繰り返す走り方です。距離ロスとしては1kmあたり数十メートル程度でも、細かな加減速を200回繰り返せば脚への負担は無視できません。特に2km地点の上り坂は道幅が限られるため、ここで抜こうとすると余計な力を使います。
現実的な対処は、最初の5kmを「目標ペースより10〜20秒遅い区間」と最初から決めてしまうことです。5km地点には両側に給水所があり、そこで隊列がばらけます。それまでは列の流れに乗り、抜くのは給水所を過ぎてからにする。この判断を事前にしておくだけで、序盤の消耗はかなり抑えられます。
最初の給水は5km地点、スタートからの空白が長い
公式のエイドステーション一覧を見ると、フルマラソンの最初の給水所は5.0km地点(両側)です。つまりスタートからそこまで5kmは補給ポイントがありません。4月の大会とはいえ、過去には最高気温が20℃を超えた年もあり、この5kmで水分を失う量は無視できません。
失敗しやすいのは、「まだ序盤だから」と5km地点の給水を飛ばしてしまうケースです。喉が渇いてから飲むのでは吸収が間に合わず、20km以降に効いてきます。5km地点では水とポカリスエットの両方が用意されているので、必ず1杯は取る前提でスタートブロックに並ぶのが正解です。
もう一つの手は、スタート前の給水を設計しておくこと。号砲の30〜60分前に250〜300ml程度を分けて飲んでおけば、5kmまでの空白を埋められます。飲みすぎるとトイレが近くなるので、量より「タイミングを分ける」ことを優先してください。
2km地点の約400mの上りを、周囲に釣られて目標ペースのまま押し切る。その場では10秒稼げても、心拍が上がった状態が10km続き、15km前後の起伏帯で完全に脚が売り切れる——というのが典型的な崩れ方です。
【対策】坂の入口でペースを1kmあたり20〜30秒落とすことをレース前に決めておき、腕時計のラップ表示ではなく「呼吸が乱れない範囲」で上る。上り切ってから平地区間で戻せば、トータルのロスは20秒以内に収まります。
15〜22kmの起伏帯を「貯金」せずに抜ける

15km前後の長い下りと長い上りはセットで来る
大会公式の攻略コラムは、中盤の難所として15km前後を挙げ、「300〜400m続く長〜い下り坂と長〜い上り坂」があると説明しています。下ってから上る、つまり谷を1つ越える形です。下りで気持ちよくペースが上がった直後に上りが来るため、勢いのまま上ろうとして脚を消耗する人が多い場所でもあります。
下りでは着地衝撃が増え、大腿四頭筋にダメージが蓄積します。ここで1kmあたり15秒速く走っても稼げるのは5秒程度。一方で下り由来の筋ダメージは30km以降に確実に出ます。下りは「重力に任せてピッチを上げる」だけにとどめ、ストライドを伸ばして飛ばないのが鉄則です。
そして直後の上りでは、下りで上がったペース感覚をいったんリセットします。体感としては「一段ギアを落とす」イメージで、歩幅を狭めて回転数を保つ。この谷を丁寧に越えられるかどうかが、17km関門の余裕と後半20kmの残り脚の両方に直結します。
21km付近の500mの下り坂で脚を売らない
公式コラムが「500mほど続く長い下り坂」と紹介しているのが21km付近です。ここは台地から湖岸へ下りる区間で、正面に霞ヶ浦が見えてくる、このコース最大の見どころでもあります。景色と重力が同時に背中を押してくる、いちばん危険な500mだと考えてください。
500mの下りでペースを1kmあたり30秒上げると、稼げる時間は15秒です。その代償として、大腿四頭筋には平地の1.2倍前後の着地衝撃がかかり続けます。ハーフ地点でその負荷を受けた脚が、35km以降にどうなるかは想像がつくはずです。ここは「タイムを取りに行かない場所」と決め打ちしてしまうのが賢いやり方です。
逆に、この下りをうまく使う方法もあります。ペースを上げるのではなく、上体を起こして接地を柔らかくし、呼吸と心拍を落ち着かせる回復区間として使うのです。湖岸に出てからの14kmは風との勝負になるので、その前に心拍を一段下げておくと後半の粘りが変わります。
17km関門はこの起伏帯の直後にある
フルマラソンには17km地点と28.5km地点の2か所に関門が設けられ、大会公式の要項では17km関門が12時15分、28.5km関門が14時10分と示されています。注目したいのは、17km関門が15km前後の起伏帯を越えた直後に置かれていることです。
これは偶然ではなく、コース上でもっとも脚を削られる区間を通過できたかどうかを見る位置に関門があるということです。ここでギリギリだった人は、その後の湖岸区間で風に押し戻されて28.5km関門に届かないケースが少なくありません。17km関門を「通過できるか」ではなく「何分の余裕を持って通過するか」で考えるべき理由がここにあります。
目安として、17km関門に10分以上の余裕を持って到達できていれば、後半の失速をある程度織り込んでもゴールまで届きます。逆に余裕が5分を切っている場合は、28.5km関門までの11.5kmで巻き返すのは難しく、そこから先はペースを落とせない苦しい展開になります。
意外と知られていないのですが、このコースで「貯金」を作るのに向いているのは前半ではなく、上り切ったあとの台地区間(5〜14km付近)です。ここは高低差がほとんどない平坦面で、風の影響も湖岸ほど受けません。坂で削られる2km地点と15km前後、21km付近の3か所を丁寧に処理し、その間の平坦面だけで淡々と刻む——という組み立てのほうが、序盤から突っ込むより結果的に前半のタイムは揃います。「前半で貯金」ではなく「坂以外で刻む」。この言い換えが、かすみがうらでは効きます。
後半20kmはフラット、それでも湖岸が難所になる理由
22km以降は日陰も風よけもない吹きさらし
湖岸に出てからのコースは、高低差という意味ではほぼ平坦です。ところが、この平坦さと引き換えに失われるものがあります。建物も並木もない湖岸道路には、日陰も風よけも存在しません。晴れた日は直射日光を浴び続け、風の強い日は正面から受け続けることになります。
大会公式の攻略コラムは風について、「5km地点を過ぎた付近で東風を感じる」のは当たり年で、後半が西方向になるため有利に働くと説明しています。裏を返せば、序盤で追い風を感じた年は後半が向かい風になる可能性があるということ。序盤の風向きは、後半の展開を予測する材料になります。
対策としては、風が強い日ほど単独走を避けることです。前を行くランナーの斜め後ろにつくだけで体感負荷は目に見えて下がります。ペースの合う集団を見つけたら、多少ペースが自分の設定とずれていても、風の強い区間だけは集団に残るほうが総合的には速く走れます。
平坦区間は同じ筋肉を使い続ける
起伏のあるコースは、上りと下りで使う筋肉が切り替わるため、結果的に負荷が分散します。逆に完全な平坦区間は、同じ角度・同じストライド・同じ着地を延々と繰り返すことになり、特定の部位に疲労が集中します。湖岸の直線が「単調できつい」と言われるのは、精神面だけでなく筋肉の使い方の問題でもあります。
ここで効くのが、意図的に走り方を変えることです。3kmごとにピッチを5歩ほど増やす、給水所の前後20mだけ大きく腕を振る、といった小さな変化で使う筋肉がわずかに切り替わります。ペースを変えるのではなく、フォームの配分を変えるのがポイントです。
デメリットもあります。フォームをいじりすぎると効率が落ち、かえって消耗する場合があること。本番でぶっつけで試すのではなく、練習の20km走の後半で「3kmごとにピッチを上げる」を一度やっておくと、本番でも違和感なく使えます。
追い風の「当たり年」と向かい風の年で戦略が変わる
この大会は4月中旬〜下旬の開催で、天候の振れ幅が大きいのが特徴です。晴れて気温が上がる年もあれば、雨の年もあります。同じコースでも、当日の風向きと気温で難易度は変わります。
追い風の年は、湖岸区間でペースが自然に上がります。ここで気をつけたいのは、追い風は体感の暑さを消してしまうこと。汗が乾きやすく脱水に気づきにくいので、給水の回数はむしろ増やす意識が必要です。向かい風の年は逆で、ペースが落ちること自体は受け入れ、キロあたり10〜20秒の遅れを計算に入れておくと精神的に楽になります。
雨の年に備えるなら、湖岸の吹きさらしで体が冷えることを想定した装備が要ります。気温15℃を下回る雨は、平坦区間ほど発熱量が上がらないぶん体温が下がりやすくなります。
| 湖岸フラット区間のメリット | 湖岸フラット区間のデメリット |
|---|---|
| 高低差がほぼなくペースを一定に保てる 給水所が2〜3.5km間隔で密に並ぶ 霞ヶ浦の景色が続き距離感が把握しやすい | 日陰と風よけがなく風の影響を直接受ける 同じ筋肉を使い続け特定部位に疲労が集中 単調で30km以降のメンタル維持が難しい |
2つの関門と6時間の制限時間をペースに翻訳する
17km関門12時15分・28.5km関門14時10分は「絶対時刻」
大会公式の要項に記載されている関門は、17km地点までに12時15分、28.5km地点までに14時10分の2か所です。ゴールの制限時間は16時00分(6時間)と定められています。ここで理解しておくべき最重要ポイントは、これらが「自分のスタートからの経過時間」ではなく、時計の絶対時刻だということです。
フルマラソンのスタートは9時45分。先頭ウエーブで飛び出せば17km関門まで2時間30分ありますが、ウエーブが後ろになるほど持ち時間は削られます。公式のよくある質問では「2〜4のグループに分けて、5分おきにスタートすることを予定」とされているため、最後尾のウエーブだと号砲から15分後のスタートになる計算です。
つまり同じコースを走っていても、自分がどのブロックにいるかで必要ペースが変わります。ゼッケンを受け取った時点でスタートブロックが分かるので、そこから逆算した通過タイムを腕に書いておくのが確実です。「関門は余裕」と思っていた人が、後方ウエーブのせいで15分足りなくなる——これは毎年どこの大会でも起きています。
ウエーブ別・関門通過ペース早見表(ランニングスタイル調べ)
公式発表の関門時刻とスタート時刻から、必要ペースを逆算したのが次の表です。先頭ウエーブ(9時45分)と、5分刻みで最大15分後になる最後尾ウエーブ(10時00分想定)の2パターンを並べています。
| 地点 | 関門時刻 | 先頭ウエーブの持ち時間/必要ペース | 最後尾ウエーブの持ち時間/必要ペース |
|---|---|---|---|
| 17.0km関門 | 12:15 | 2時間30分/キロ8分49秒 | 2時間15分/キロ7分56秒 |
| 28.5km関門 | 14:10 | 4時間25分/キロ9分18秒 | 4時間10分/キロ8分46秒 |
| ゴール42.195km | 16:00 | 6時間15分/キロ8分53秒 | 6時間00分/キロ8分32秒 |
表を見ると、いちばん厳しいのは17km関門であることが分かります。最後尾ウエーブの場合、キロ7分56秒——つまり歩きを一切挟めないペースが必要です。ここを越えれば28.5km関門までの要求ペースは緩みますが、その区間はちょうど湖岸の向かい風帯にあたります。「17kmまでに貯金を作り、28.5kmまでは守る」が現実的な組み立てです。
自分の目標タイムから逆算した5km通過タイムを整理しておきたい人は、ペース配分の考え方をまとめたこちらも合わせてどうぞ。

「フルマラソンを走るけれど、1kmを何分で走ればゴールタイムが何時間になるのか、いまいちピンとこない」——そんな疑問を抱えるランナーは少なくありません。ペース表…
目標レベル別・区間ペースの決め方
完走が目標の人は、17km関門に最低10分の余裕を作ることを最優先にします。具体的には、坂の3か所を除いてキロ7分30秒前後で刻み、坂だけキロ8分台に落とす配分です。この組み立てなら17km関門を12時00分前後で通過でき、後半に歩きを挟む余地が残ります。
サブ5(5時間切り)を狙うならキロ7分06秒前後が基準です。このレベルだと関門はほぼ問題にならないので、むしろ湖岸区間で風に削られる分をどう吸収するかが課題になります。向かい風の年は、風の区間だけキロ7分30秒まで落として、追い風や無風の区間で戻す運用が現実的です。
サブ4を狙う人にとって、このコースは狙い目です。坂は3か所に限定され、残りは平坦。前半の台地区間でキロ5分40秒前後を安定させ、湖岸で集団に入れれば、記録は出やすい条件が揃っています。注意点は、21km付近の下りで気持ちよく上げてしまうこと。ここでキロ5分10秒まで上がると、35km以降にほぼ確実にツケが回ります。
「17km関門は2時間30分だから、キロ8分30秒で大丈夫」と計算したのに、実際は後方ウエーブで10分後スタート。持ち時間は2時間20分しかなく、給水とトイレで使った時間が響いて関門で止められる——という取り違えが起きます。関門は時計の絶対時刻です。
【対策】ゼッケンでスタートブロックを確認したら、「自分の号砲時刻+持ち時間」を計算し直し、17km・28.5kmの目標通過時刻を腕やゼッケン裏に書いておく。腕時計はラップではなく時刻表示に切り替えておくと確認が速くなります。
14か所のエイドを設計図として使う
給水所の位置と、5kmも空く「補給の空白」
公式サイトのコースページには、フルマラソンのエイドステーション14か所が距離・設置側・提供品まで公開されています。位置は5.0km/7.5km/10.0km/15.0km/17.5km/20.0km/23.5km/26.0km/28.5km/32.0km/33.5km/35.5km/38.5km/40.5km。加えて、ブラインドランナー専用エイドが9か所に別途設置されます。
この並びを間隔で見ると、意外な事実が浮かびます。10.0kmから15.0kmまでの5.0kmが、コース中もっとも長い空白区間なのです。そしてこの5kmには、15km前後の起伏帯へ向かう上り込みが含まれます。ここを「エイドがない区間」と認識せずに走ると、いちばん脚を使う場所で補給が切れることになります。
逆に32.0km以降は32.0/33.5/35.5/38.5/40.5と密に並び、最短では1.5km間隔です。後半は取りたいときに取れる設計になっているので、無理に全部取る必要はありません。「10km地点は必ず取る」「32km以降は1つおき」といった強弱を先に決めておくと、給水所での減速回数を減らせます。
| 区間 | 給水所の位置 | 最長の空白 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| スタート〜10km | 5.0/7.5/10.0km | スタート〜5.0km(5.0km) | 2km地点の坂を越えた直後。渇く前に5kmで必ず取る |
| 10〜20km | 15.0/17.5/20.0km | 10.0〜15.0km(5.0km) | コース最長の空白。この先が15km前後の起伏帯 |
| 20〜30km | 23.5/26.0/28.5km | 20.0〜23.5km(3.5km) | 湖岸の風帯。23.5kmと26.0kmにかぶり水あり |
| 30km〜ゴール | 32.0/33.5/35.5/38.5/40.5km | 28.5〜32.0km(3.5km) | 最短1.5km間隔。全部取ると減速回数が増える |
かぶり水4か所は暑い年の生命線
公式のエイド一覧によると、かぶり水が用意されるのは23.5km/26.0km/32.0km/35.5kmの4か所です。いずれも湖岸の吹きさらし区間にあたり、日差しを遮るものがない場所に集中して配置されています。この配置自体が、大会側が「後半の暑さが最大のリスク」と認識していることの表れです。
使い方にはコツがあります。頭からかぶるより、首の後ろ・手のひら・前腕にかけるほうが体温を下げる効率は上がります。頭からかぶるとシューズと靴下が濡れ、マメの原因になるためです。特に35.5kmでシューズを濡らすと、残り6kmで足裏が擦れて痛みが出るケースがあります。
また、かぶり水を「暑いから」ではなく「暑くなる前に」使うのが正解です。23.5kmの時点でまだ余裕があっても、そこから先の湖岸区間で体温は確実に上がります。最初のかぶり水を通過してしまうと、次は26.0kmまで待つことになります。
後半の食べ物エイドは「食べる練習」をしてから
公式の攻略コラムでは、後半に梅干し、レンコンの天ぷら、おにぎり、パン、おしるこステーションなどが用意されると紹介されています。地元・土浦のレンコンを使った補給が出てくるのは、この大会ならではの光景です。
ただし、レース中に固形物を食べる練習をしていない人が本番でいきなり天ぷらやおにぎりを口にすると、胃が受け付けずに気持ち悪くなることがあります。走行中の消化能力は普段より落ちているため、脂質の多いものは特にリスクがあります。楽しみとして食べるなら、ゴールが見えてきた38.5km以降の1品に絞るのが無難です。
一方で、梅干しは塩分とクエン酸の補給として理にかなっています。汗で失われたナトリウムを手軽に戻せるので、脚がつりやすい人は積極的に取って構いません。バナナは10.0km以降のほぼ全エイドに用意されているので、こちらも計算に入れられます。
- Step1: ゼッケン到着後にスタートブロックを確認し、自分の号砲時刻から17km・28.5kmの目標通過時刻を計算して腕に書く
- Step2: 給水計画を紙に書く。「5kmは必ず取る」「10〜15kmの空白に備えてジェルを1本」「23.5kmでかぶり水」の3点だけでも決めておく
- Step3: 本番3〜4週間前の20km走で、後半5kmだけ本番想定のジェルと水分を取り、胃の反応を確認しておく
当日の動線を先に決める|会場アクセスと持ち物
会場は土浦駅から徒歩約5分、電車派に有利
スタート・ゴール地点となる会場は、公式アクセス情報でJR常磐線「土浦駅」下車、徒歩約5分と案内されています。フルマラソンのゴール後、疲れた脚で長距離を歩かずに駅へ戻れるのは、この大会の実用的な魅力です。上野東京ラインを使えば都心からの直通アクセスもあり、前泊せずに当日入りする選択も現実的な範囲に収まります。
| 住所 | 〒300-0033 茨城県土浦市川口2丁目12-75 |
| アクセス | JR常磐線「土浦駅」下車、徒歩約5分 |
| 駐車場 | 会場周辺に無料駐車場なし(大会当日は無料臨時駐車場2か所・各1,000台と無料送迎バスを利用) |
| 公式サイト | 公式サイト |
会場内には荷物預かり所と男女別の更衣室がいずれも無料で設置されると、公式のよくある質問に記載があります。着替えを預けられるので、寒い年でも防寒着を着たままスタート直前まで待機できます。ただし14,000人規模の大会なので、荷物預けとトイレの列は想定より長くなります。フルのスタート90分前には会場に入っておきたいところです。
車で行くなら送迎バスの時間から逆算する
公式アクセス情報によると、会場周辺には無料の駐車場がなく、大会当日は離れた場所に用意される臨時駐車場と無料送迎バスを使う流れになります。送迎バスは往路(駐車場から会場)が7時00分〜9時30分、復路(会場から駐車場)が12時00分〜17時00分で随時運行され、所要時間は約10分と案内されています。
ここで注意したいのは、往路のバスが9時30分で終わる点です。フルマラソンのスタートは9時45分ですから、最終便で会場に着いてから荷物を預けてスタートブロックに並ぶのは現実的ではありません。車で行く人は、遅くとも8時台のバスに乗る前提で駐車場到着時刻を決めてください。
復路のバスが17時00分までという点も、6時間の制限時間ぎりぎりでゴールする人には重要です。16時00分にゴールし、着替えと荷物受け取りを済ませてから乗ることになるので、時間の余裕はそれほど大きくありません。同行者がいる場合は、集合場所を事前に決めておくと動きやすくなります。
参加料と、地元色の濃い参加賞・完走賞
2026年大会の参加料は、フルマラソンが12,000円、10マイルが9,000円、5kmが6,000円と公式要項に示されています。定員はフルマラソン14,000人、10マイル5,000人、5km1,000人。参加資格は3種目とも高校生以上の健康な方とされています。
参加賞は、大会オリジナルショルダーポーチか地元名産品をエントリー時に選ぶ方式で、申込後の変更はできません。さらに参加者全員へ、地元コシヒカリ玄米100%を使った「備食ライス」が当日配布されます。完走賞は100年木桶仕込みしょうゆ「紫峰 鮮度保持ボトル200ml」です。Tシャツ一択ではなく、食べ物系から選べるのがこの大会の個性と言えます。
フルマラソン以外の選択肢が充実しているのもこの大会の特徴で、約16.09kmの10マイル、5km、約16kmのウオーキングが用意されています。フルはまだ不安という人が10マイルから入り、翌年フルに挑戦する——という段階的な使い方ができます。
関東圏でエントリーする大会を比較検討したい人は、高低差や参加費で選ぶ視点をまとめたこちらも参考になります。

「関東でフルマラソンに出たいけれど、大会が多すぎてどれを選べばいいかわからない」——そんな悩みを抱えていませんか。東京マラソンの抽選倍率は12倍を超え、エントリ…
- ☑ ゼッケンでスタートブロックを確認し、17km・28.5kmの目標通過時刻を計算した
- ☐ 腕時計をラップ表示ではなく「時刻表示」に切り替えた(関門は絶対時刻のため)
- ☐ 10〜15kmの給水空白に備えたジェルをポケットに用意した
- ☐ 当日の風向き予報を確認し、湖岸区間が向かい風か追い風かを把握した
- ☐ 車利用なら、往路送迎バス(〜9時30分)に間に合う到着時刻を決めた
- ☐ 荷物預けとトイレの列を見込み、スタート90分前の会場入りを計画した
まとめ|坂3か所と関門2つを押さえれば完走は近づく
このコースは、高低図を眺めて「平坦だから楽」と判断するか、「坂が3か所に集中しているから、そこだけ守れば刻める」と読むかで、当日の走りがまったく変わります。42.195kmを5つの区間——スタートから台地への上り、台地の平坦面、15km前後の起伏帯、21kmの下り、湖岸のフラット14km——に分けて、それぞれの狙いを1行で決めておく。この作業を今日30分やっておくだけで、本番の判断が速くなります。最初の一歩は、次の週末に予定している20km走を「前半10kmは抑え、後半10kmを一定ペースで刻む」という配分で走ってみることです。かすみがうらのコースプロファイルをそのまま縮小した練習になります。
なお、開催日・関門時刻・参加料・エイドの内容は大会ごとに見直される場合があります。エントリー前には大会公式サイトの大会要項とコースページで最新情報をご確認ください。

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