「霞ヶ浦を一周走ってみたい」——地図でぐるりと湖を眺めて、そう思ったランナーは少なくないはずです。でも調べ始めると距離の数字がバラバラで、「結局何km走ればいいの?」「フルマラソンより長いって本当?」「途中で水はどこで買えるの?」と疑問だらけになります。この記事はその霧を晴らすためのものです。
結論から言うと、霞ヶ浦(西浦)を一周する定番コースは約125km、獲得標高わずか269mの超平坦コースです。ただし「平坦だから楽」ではありません。100kmを超えるウルトラ距離は、フルマラソンの延長線上では走り切れない別競技だと考えてください。この記事では、正確な距離と時間、平坦ゆえの落とし穴、補給プラン、大会という選択肢、そしてレベル別の挑み方まで、走る前に知っておきたい情報を一次情報にもとづいて整理します。
・霞ヶ浦一周の正確な距離(約125km)と、ランで走った場合の所要時間の目安
・平坦なのにきつい「3つの落とし穴」と失敗しないペース戦略
・補給・給水・エスケープを含めたコース設計の考え方
・大会(ウルトラウォーキング)で挑むか、個人で挑むかの判断基準
霞ヶ浦一周は約125km、走ると何時間かかる?

まず押さえたいのが距離です。ここが曖昧なまま計画を立てると、補給も装備も全部ズレます。霞ヶ浦一周には「本体(西浦)を回る約125kmのフルコース」と「霞ヶ浦大橋でショートカットする約90kmコース」の2種類があると理解しておきましょう。
一周の正確な距離は約125km|獲得標高269mの超平坦コース
霞ヶ浦の本体である西浦を一周する定番コースは約125km、獲得標高は269mです(茨城県公式「サイクリングいばらき」より)。獲得標高269mというのは、フルマラソン1本ぶんの距離を3回近く走ってやっと上り累計が皇居の坂数本ぶん、というレベルで、坂という坂がほぼありません。発着点は土浦市の「りんりんポート土浦」が定番で、シャワー・更衣室・無料駐車場が整っています。
注意したいのは、この「平坦」がそのまま「楽」を意味しない点です。上りがない代わりに下りもなく、脚を休めるタイミングが一切ありません。同じ筋肉を同じ角度で12時間以上使い続けるため、後半は坂よりも「単調な平坦」のほうが脚に効いてきます。距離の数字は魅力的でも、平坦コース特有の消耗を甘く見ないことが完走の第一歩です。
霞ヶ浦一周(西浦)は約125km・獲得標高269m。フルマラソン約3本ぶんの距離を、坂のない単調な湖岸で走り続けるチャレンジです。「平坦=楽」ではなく「休めない」と読み替えましょう。
霞ヶ浦大橋を使えば約90kmに短縮できる
「125kmはさすがに長い」という人には、霞ヶ浦大橋を渡って湖の北側(高浜入り・玉造側)をカットする約90〜91.5kmのショートコースがあります。フルマラソン2本強の距離で、100kmの大台には届かないぶん、初めてのロング湖岸チャレンジには現実的な選択肢です。橋の上からは湖を横断する開けた景色が広がり、コースのアクセントにもなります。
ただしショートカットとはいえ90kmはウルトラ距離です。フルを完走したことがある人でも、42kmと90kmの間には大きな壁があります。まずはこの90kmコースで「100km級の世界」を体験し、脚の持ち・補給・メンタルの感覚をつかんでから125kmに挑むのが安全な順番です。いきなりフルの3倍に挑んでリタイアするより、段階を踏むほうが結果的に一周達成は近づきます。
ランで走ると何時間?キロ7分で約14〜15時間が目安
気になる所要時間です。125kmをずっと同じペースで走れる市民ランナーはほぼいませんが、ざっくりの目安としてキロ7分換算で約14時間35分、歩きを交えたキロ8〜10分では17〜21時間程度を見込みます。つまり早朝スタートでも日をまたぐ可能性が高く、ナイトラン装備(ライト・反射材)が前提になります。
この時間感覚を持たずに「フルが4時間半だから3倍で13時間くらいかな」と単純計算すると、後半の失速を織り込めず計画が破綻します。ウルトラの世界では歩く時間・補給で立ち止まる時間・トイレ時間がすべて積み上がります。次の見出しで具体的なペース別早見表を出しますが、まずは「一日仕事、へたをすると徹夜」という時間スケールで捉えることが大切です。
「つくば霞ヶ浦りんりんロード」全長180kmとの関係を整理
検索すると「180km」という数字も出てきて混乱しがちなので整理します。「つくば霞ヶ浦りんりんロード」は、旧筑波鉄道跡の約40kmの区間と、霞ヶ浦の湖岸道路約140kmを合わせた全長180kmのサイクリングルートの総称です(茨城県公式)。このうち「湖を一周する部分」だけを取り出すと約125kmになる、という関係です。
つまり180kmはランで一周する距離ではなく、りんりんロード全体の総延長を指します。ここを取り違えると「一周180km走らなきゃ」と過大な計画を立ててしまいます。ランナーが目標にするのは湖を回る約125km(またはショートの約90km)で、りんりんロードはそのコースの一部を通る、と覚えておけば数字に振り回されずに済みます。
なぜ平坦なのに「一周ラン」はきついのか|3つの落とし穴
「坂がないなら余裕でしょ」——この油断が一周チャレンジ最大の敵です。標高差がほぼないコースには、坂道とは違う3つの落とし穴があります。ここを知っておくだけで完走率は大きく変わります。
落とし穴①景色が変わらず、メンタルが先に折れる
霞ヶ浦一周は湖岸とレンコン畑がひたすら続く、良くも悪くも変化の少ない景色です。経験者の間では「3本ローラー(室内トレーナー)を外でやっているよう」と表現されるほど単調で、体力より先にメンタルが削られます。50km地点で「まだ半分以上ある」と気づいた瞬間に心が折れるのが典型的なパターンです。
対策は、コースを10〜15kmごとの区間に分割し「次のコンビニまで」と小さなゴールを積み重ねる考え方です。音楽やポッドキャストの準備、一緒に走る仲間の存在も効きます。逆に、絶景で気を紛らわせるタイプのコースではないと割り切り、「単調さと向き合う心の準備」をしておくことが、装備以上に重要な対策になります。
「平坦で走りやすい」と気持ちよく飛ばし、キロ6分ペースで50kmまで来て脚が終了——一周チャレンジで最も多い失速パターンです。125kmは「完走ペースはジョグより遅くて当たり前」。最初の30kmはキロ7〜8分でも速すぎるくらいの意識で入りましょう。
落とし穴②日陰・風よけがなく、天候がダイレクトに刺さる
湖岸道路は開けていて日陰がほとんどありません。夏は直射日光と照り返しで体感温度が上がり、熱中症リスクが跳ね上がります。逆に冬は霞ヶ浦特有の強い北風がまともに当たり、向かい風区間では同じペースでも体感の負荷が倍増します。坂はなくても「風という見えない上り坂」があるわけです。
対策として、夏は日の出前スタート+キャップ・アームカバー・塩分補給、冬は防風ウェアと手袋が必須になります。風向きを事前にチェックし、前半を向かい風・後半を追い風になるよう回る方向を選ぶだけでも後半がぐっと楽になります。天候をコントロールはできませんが、装備とルート設定で受けるダメージは半分以下にできます。
落とし穴③100km超はフルマラソンの延長では走れない
最大の落とし穴が「フルの延長で考える」ことです。フルマラソン42.195kmと100km超では、消費エネルギー・胃腸への負担・筋肉の破壊レベルがまるで違います。フルなら水とジェル数個で足りますが、ウルトラでは「食事」と呼べる固形物の補給、着替え、場合によっては仮眠まで視野に入ります。走力より「補給と自己管理の総合力」が問われる競技です。
だからこそ、フルのベストタイムが速い人でも、補給を軽視すると平気でリタイアします。逆にサブ4に届かないランナーでも、歩きを上手に混ぜて自己管理ができれば一周を達成できます。「速さ」ではなく「止まらない技術」の勝負——これがウルトラ距離の本質であり、次章以降の補給・コース設計がタイム以上に効いてくる理由です。
スタートはどこから?土浦を起点にするコース設計

距離と落とし穴がわかったら、次は現実的なコース設計です。どこから、どちら回りで、いざという時どう帰るか。この3点を走る前に決めておくと、当日の判断が驚くほど楽になります。
起点は土浦(りんりんポート土浦/川口運動公園)が定番
一周チャレンジの起点は、土浦市が圧倒的に便利です。ロングライドの拠点「りんりんポート土浦」はシャワー・更衣室・無料駐車場が揃い、後述のウルトラウォーキング大会も土浦市の川口運動公園を発着点にしています。JR常磐線・土浦駅から近く、東京方面からの電車アクセスも良好なので、車がなくても輪行ならぬ「輪行なしのラン旅」が組めます。
土浦を起点にする利点は、ゴール後にシャワーを浴びて着替え、そのまま電車で帰れる導線が完成している点です。125km走り切った体で長距離運転をするのは危険なので、公共交通で帰れる起点選びは安全管理そのものです。逆に湖の対岸(行方市や稲敷市側)を起点にすると、リタイア時の帰路が一気に難しくなるため、初挑戦では土浦発着を強くおすすめします。
時計回り・反時計回り、どちらが走りやすい?
回る方向に絶対の正解はありませんが、判断基準は「風」と「補給」です。前述のとおり冬は北風が強いので、体力のある前半に向かい風区間、疲れた後半に追い風が来るよう方向を選ぶと後半が楽になります。当日の風向き予報を見て決めるのが理にかなっています。
もう一つの基準がコンビニ・自販機の分布です。湖の東側(美浦・阿見〜土浦側)は市街地が近く補給ポイントが多い一方、北西や南の一部は店舗の空白区間があります。補給が不安な人は、疲れて判断力が落ちる後半に補給が濃いエリアが来る向きを選ぶと安心です。方向ひとつで難易度が変わるので、地図とにらめっこする時間を惜しまないでください。
エスケープと輪行|リタイア時の帰り方を先に決める
ウルトラ距離の鉄則は「やめる勇気」と「やめられる準備」です。125kmを走っていれば、脚の故障・天候急変・体調不良でリタイアを判断する場面は十分あり得ます。そのとき湖の対岸で立ち往生しないよう、コース上のどこにバス停・駅・タクシーが呼べるエリアがあるかを事前に把握しておきましょう。
具体的には、途中離脱しても電車で土浦に戻れるルート(関東鉄道・JRの駅位置)や、家族に車で迎えに来てもらえる合流ポイントを決めておくと安心です。モバイルバッテリーと現金も必携。「完走できなかったらどうしよう」ではなく「安全にやめる方法があるから安心して挑める」と考えるのが、ウルトラを長く楽しむコツです。
意外と知られていませんが、霞ヶ浦一周は「一日で一気に」だけが正解ではありません。北半分と南半分を別の日に走って合計で一周達成する分割チャレンジなら、ケガのリスクも当日の負担も大幅に下がります。SNS映えは一発完走に譲っても、走る楽しさと安全性を両立できる現実的な攻略法です。まずは分割で全区間を知り、慣れてから一気走りに挑むのが遠回りに見えて近道です。
一周を走り切る補給・給水プラン|コンビニ間隔と水分戦略
ウルトラ距離の勝敗はここで決まると言っても過言ではありません。125kmを止まらず動き続けるための、補給と水分の考え方を具体的に整理します。走力よりこの計画性のほうが完走に直結します。
自販機・コンビニは東側に密、西・南に空白区間あり
霞ヶ浦の湖岸は、土浦・阿見など市街地に近い東側はコンビニ・自販機が比較的多い一方、北西部や南部の農村エリアには数kmにわたって店舗がない区間があります。「困ったらすぐ買える」感覚でいると、いざという時に補給できず一気に消耗します。事前に地図アプリでコンビニをピン留めし、空白区間の手前で必ず補給・トイレを済ませる計画を立てましょう。
特に早朝や夜間は個人商店が閉まっているため、24時間営業のコンビニの位置が生命線になります。空白区間が15km以上続くポイントでは、その手前でボトルを満タンにし、ジェルや固形食を多めに持つ判断が必要です。「次で買えばいい」を封印し、「前倒しで補給する」を徹底するだけで、脱水・低血糖のリスクは大きく減らせます。
- Step1: 地図アプリでコース上のコンビニ・自販機・トイレをすべてピン留めし、空白区間を洗い出す
- Step2: 1時間あたり糖質40〜60gを目安に、ジェル・固形食・塩分タブレットを空白区間ぶん多めに携行
- Step3: 「喉が渇く前・空腹になる前」に前倒しで補給。空白区間の手前でボトル満タン&トイレを徹底
携行する補給食・ジェルの量の目安
目安として、ウルトラ距離では1時間あたり糖質40〜60g(ジェル1〜2個相当)を補給し続けるのが基本です。125kmを15時間と見積もれば、ジェルだけでも20個近い計算になり、とても全部は持てません。だからコンビニでのおにぎり・菓子パン・バナナといった「固形食」を組み合わせ、胃を飽きさせず塩分も摂る戦略が現実的です。
ジェルは即効性はあるものの、甘さで胃がやられて後半に受け付けなくなるのが定番の失敗です。塩味・しょっぱい系の固形食を混ぜ、塩分タブレットで電解質を補うとバランスが取れます。補給食の種類や吸収の速さで迷う人は、こちらの記事も参考にしてください。自分の胃に合うものを事前の練習で見つけておくのが何より大切です。

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夏は熱中症、冬は北風|季節別の装備と水分量
季節で必要な水分・装備はまるで変わります。夏の霞ヶ浦一周は日陰ゼロの炎天下を長時間動き続けるため、熱中症対策が最優先です。1時間500〜1000mlの水分+塩分をこまめに補給し、日の出前スタート・キャップ・アームカバー・冷却グッズで体温上昇を抑えます。真夏の日中の一周チャレンジは、経験者でもリスクが高くおすすめしません。
一方、冬は水分の消費こそ減りますが、強い北風による体温低下と、汗冷えが敵になります。防風ジャケット・手袋・ネックウォーマーで保温しつつ、汗で濡れた状態を放置しないことが大切です。夏の暑さ対策の詳細は下記の記事で解説しています。季節を選ぶなら、風・気温が穏やかな春や秋(例年3〜5月、10〜11月頃)がもっとも一周向きのシーズンです。

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大会で挑むか、個人で挑むか|ウルトラウォーキングという選択肢
霞ヶ浦一周は個人で自由に挑めますが、実は「一周を回る公式イベント」も存在します。安全面・達成感の両面で大会という選択肢は非常に有力です。それぞれのメリットを比べてみましょう。
霞ヶ浦一周ウルトラウォーキング(115km・制限30時間)
アクトレップが主催する「霞ヶ浦一周ウルトラウォーキング」は、土浦市の川口運動公園を発着に湖を一周する115kmのイベントです(過去回では104km設定の年もあり)。制限時間は30時間と非常に長く、途中に関門が設けられています。参加費は115km一般で13,300円(参加賞・傷害保険込み)、スタートは午前11時です。ウォーキング大会ですが、自分のペースで動く「フリー」形式で、ランと歩きを織り交ぜて挑む参加者もいます。
ウォーキング名義とはいえ、100km超を制限時間内に回るのは立派なウルトラチャレンジです。個人ではハードルの高い「補給・道案内・安全管理」を主催者が支えてくれるため、初めての一周にはうってつけ。最新の開催日・距離・エントリー要項は必ず公式サイトで確認してください。イベント情報は年によって距離が変わるため、参加を検討するなら早めのチェックが安心です。
距離115km/制限時間30時間(途中関門あり)/参加費13,300円(一般・参加賞・保険込)/発着:土浦市 川口運動公園/スタート11:00(出典:アクトレップ公式)
大会で挑むメリット|関門・エイド・仲間の安心感
大会最大の価値は「安心して限界に挑める」ことです。個人チャレンジでは自分でやる補給ポイント探し・道迷い対策・体調管理を、大会なら主催者と関門システムが支えてくれます。同じ距離に挑む仲間が周囲にいる連帯感も、単調な湖岸で心が折れそうなときの大きな支えになります。完走証やゴールの達成感も、個人走とは別格です。
一方で、日程が固定され自由に走れない、エントリー費がかかる、といった制約もあります。それでも初めての100km超なら、安全網のある大会から入るのが賢明です。ウルトラの世界そのものに興味が湧いてきた人は、100kmを走る人たちの心理を掘り下げたこちらの記事も面白いはずです。

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個人チャレンジのメリット・デメリット
個人で挑む最大の魅力は自由度です。好きな日・好きな時間にスタートでき、体調や天候を見て延期も自在。ペースも休憩も完全に自分次第で、SNSで「霞ヶ浦一周走破」を報告する達成感も格別です。費用も交通費と補給代だけで済みます。
反面、安全管理をすべて自分で背負うデメリットは重大です。給水・道案内・リタイア時の帰路・夜間の安全確保まで、誰も助けてくれません。単独行なら家族への行程共有、GPS位置共有、モバイルバッテリー、ライト類は必須装備です。自由と引き換えに責任も全部自分持ち——この覚悟がある人にとっては、個人チャレンジは何物にも代えがたい冒険になります。
かすみがうらマラソンとの違いは?湖畔を走る大会ガイド
「霞ヶ浦の大会」と検索すると必ず出てくるのが「かすみがうらマラソン」です。名前が似ていて混同しがちですが、これは湖を一周する大会ではありません。違いを正しく理解しておきましょう。
かすみがうらマラソン2026は4月19日・フル6時間制限
かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン2026は、2026年4月19日(日)に土浦市の川口運動公園J:COMフィールド土浦を発着に開催されます。種目はフルマラソン42.195km(参加費12,000円・定員14,000人・制限6時間)、10マイル約16.09km(同2時間)、5km(同40分)などがあり、総定員2万人の大規模大会です。国内でも歴史あるフルマラソンのひとつとして知られています。
フルマラソンの関門は17km地点で12:15、28.5km地点で14:10などに設定されており、制限6時間は市民ランナーにとって比較的挑戦しやすい設定です。ただしエントリーは前年秋〜冬に締め切られるため、出たい場合は早めの情報収集が必須。最新の要項は公式サイトで確認してください。湖を一周はしませんが、霞ヶ浦の畔を走る雰囲気を大会形式で味わえます。
開催日2026年4月19日(日)/フルマラソン42.195km・制限6時間・12,000円・定員14,000人/10マイル16.09km・制限2時間/5km・制限40分/発着:川口運動公園J:COMフィールド土浦(出典:かすみがうらマラソン公式)
「一周」ではなく湖岸往復|混同に注意
ここが最重要ポイントです。かすみがうらマラソンのコースは川口運動公園を発着に、かすみがうら市歴史博物館先を折り返し(中間点)とする湖岸の往復コースで、湖を一周するわけではありません。「霞ヶ浦一周=かすみがうらマラソンに出れば達成できる」と思い込むと計画がまるごとズレます。
湖を丸ごと一周したいなら、前章の個人チャレンジか霞ヶ浦一周ウルトラウォーキングが対象です。かすみがうらマラソンは「霞ヶ浦の湖畔で開催される42.195kmの大会」であって「一周する大会」ではない——この区別を押さえておけば、大会選びで迷いません。目的が「フル完走」なのか「湖一周」なのかを最初にはっきりさせましょう。
初マラソンにも向く理由|平坦・エイド充実の大規模大会
かすみがうらマラソンは、初フルマラソンの舞台としても人気です。霞ヶ浦畔らしい平坦基調のコースで極端な坂が少なく、記録を狙いやすいのが理由のひとつ。定員2万人規模で給水・エイド・応援も充実しており、初心者が安心して42.195kmに挑める環境が整っています。制限6時間はキロ8分半でも間に合う計算です。
一方で人気大会ゆえエントリー競争があり、春開催のため花粉や気温変化への対策も必要です。いきなり湖一周の100km超はハードルが高いという人は、まずこうしたフルマラソン大会で42.195kmを完走し、ウルトラへの土台を作るのが王道ルート。関東の完走しやすい大会を探している人は、下記のまとめ記事も役立ちます。

「関東でフルマラソンに出たいけれど、大会が多すぎてどれを選べばいいかわからない」——そんな悩みを抱えていませんか。東京マラソンの抽選倍率は12倍を超え、エントリ…
レベル別・霞ヶ浦一周への挑み方|初心者からサブ3.5まで
最後に、あなたの走力に合わせた現実的な挑み方を提案します。同じ「一周」でも、目標タイムや経験によって最適な入り方はまったく違います。無理のない一歩から始めましょう。
初心者(完走目標)は分割・歩きOKで「全区間を知る」から
フル完走が未経験、または完走が目標のランナーは、いきなり一気走りを狙わないのが鉄則です。まずは北半分・南半分に分けた分割チャレンジや、大橋利用の約90kmショートを、歩きを交えて完走することを目標にしましょう。時間制限のない個人チャレンジなら、キロ8〜10分+こまめな休憩でも十分に前進できます。
この段階で大切なのは「タイムより完遂」。歩いてもいい、途中で休んでもいい、と自分に許可を出すことで、100km級の距離への心理的ハードルが下がります。全区間を一度体験しておけば、補給ポイントや風の当たり方といった実地の情報が手に入り、次の一気走りの精度が格段に上がります。焦らず段階を踏むことが、遠回りに見えて最短ルートです。
中級者(サブ4〜サブ5)は90kmショートから100km級に慣れる
フルをサブ4〜サブ5で完走できる中級者は、まず大橋利用の約90kmショートで「100km級の世界」に足を踏み入れるのがおすすめです。フル完走の経験があっても、42kmと90kmの間には未知の壁があります。ここで補給・ペース配分・脚の持ち方を実地で学び、後半失速のメカニズムを体で覚えましょう。
90kmを無理なく回れるようになったら、いよいよ125kmのフル一周が射程に入ります。中級者が陥りやすいのは「フルのペース感覚を引きずる」こと。ウルトラでは普段のジョグより1〜2分遅いペースで淡々と刻むのが正解です。心拍を上げすぎない省エネ走法を身につければ、サブ4前後の走力でも一周は十分に達成可能です。
上級者(サブ3.5以上)は一気125km、タイムにも挑戦
サブ3.5以上の走力があり、ウルトラ経験もあるランナーなら、最初から125kmの一気走りに挑む価値があります。目標は「完走」から一歩進んで「◯時間で一周」というタイム設定に。平坦コースゆえペースが安定させやすく、うまく補給が回れば10時間台での一周も見えてきます。ナイトラン装備を整え、日をまたぐ時間管理まで計画に組み込みましょう。
ただし上級者ほど「走れてしまう」ぶん、オーバーペースと補給不足のダブルパンチに陥りがちです。125kmは走力があっても内臓と補給がボトルネックになります。速く走れることと長く動き続けられることは別の能力——この謙虚さを持てるかどうかが、上級者の一周成否を分けます。以下は目安の所要時間早見表です。
| 距離/ペース | 所要時間の目安 | 想定レベル |
|---|---|---|
| 125km/キロ6分 | 約12時間30分 | 上級者(好条件時) |
| 125km/キロ7分 | 約14時間35分 | 中〜上級者 |
| 125km/キロ8〜10分(歩き交じり) | 約17〜21時間 | 初〜中級者 |
| 90km(大橋ショート)/キロ7分 | 約10時間30分 | 中級者の入門に |
※ランニングスタイル調べ。同一ペース継続を仮定した理論値で、休憩・補給・失速時間は含みません。
まとめ:霞ヶ浦一周は「距離」より「準備」で決まる
霞ヶ浦一周は、地図で見れば湖をぐるりと囲むだけのシンプルなチャレンジに見えます。しかしその実体は約125km・獲得標高269mという、坂がないぶん「休めない」ウルトラの世界です。フルマラソンの延長ではなく、補給・水分・コース設計・安全管理という総合力が問われる別競技だと捉えることが、完走への最短ルートになります。
速く走れることと、長く動き続けられることは別の能力です。だからこそサブ4に届かないランナーでも、歩きを上手に混ぜて自己管理ができれば一周は達成できます。まずは大橋利用の約90kmショートや、北半分・南半分の分割チャレンジで「100km級の世界」を体験してみてください。物足りなければ125kmの一気走りへ、安全に挑みたいなら霞ヶ浦一周ウルトラウォーキングへ——あなたのレベルに合った入口が必ずあります。
最初の一歩は、地図アプリでコンビニと駅をピン留めし、走る方向と季節を決めること。そして走力に見合った距離設定から始めること。準備さえ整えば、レンコン畑と湖が延々と続くあの単調な景色は、走り切ったあとに忘れられない達成感へと変わります。次の休日、まずは湖の半周から霞ヶ浦一周への旅を始めてみませんか。
※本記事の距離・大会情報は執筆時点の公開情報にもとづきます。開催日・距離・参加費・エントリー要項は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。

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