マラソン大会にエントリーしようとしたら「一般の部」と「陸連登録の部」という2つの選択肢が出てきて、手が止まった経験はありませんか。「陸連登録って自分みたいな市民ランナーに関係あるの?」「登録すると何が変わるの?」と疑問に思いながら、とりあえず一般の部で申し込んだ人は多いはずです。
結論から言うと、陸連登録は自己ベストに関係なく誰でもでき、年3,000〜5,000円ほどで公認記録の取得やスタート優遇といった特典が得られます。ただし全員に必要なものではなく、あなたの走力や目標次第で「登録すべき/しなくていい」がはっきり分かれます。この記事では、根拠となる数値をもとにその判断基準まで踏み込みます。
・陸連登録の正体と「登録の部」で変わること
・年間費用の内訳と、都道府県で差がつく理由
・JAAF-STARTを使った個人登録の具体的な手順
・レベル別「登録すべき人・しなくていい人」の判断基準
陸連登録とは?市民ランナーがまず知るべき基本

「陸連登録」という言葉は聞いたことがあっても、正確に説明できる市民ランナーは意外と少ないものです。まずは登録の正体と、登録することで何が変わるのかを整理しておきましょう。ここを押さえておくと、大会エントリー画面で迷わなくなります。
陸連登録の正体は「都道府県陸協への競技者登録」
陸連登録とは、正確には日本陸上競技連盟(JAAF)とお住まいの都道府県陸上競技協会(陸協)に「競技者」として登録することを指します。「日本陸連に直接」というより、居住地または勤務地の都道府県陸協を窓口に登録する仕組みです。
登録すると年度ごとに競技者としての資格が与えられ、有効期間は4月1日から翌年3月31日までの1年間です。年度が替わるたびに更新が必要で、自動継続ではない点に注意してください。公認競技会に出場したり公認審判員として活動したりするには、この登録が前提になります。
使うシーンは大きく2つ。1つはマラソン大会の「陸連登録の部」でのエントリー、もう1つはトラック競技会への出場です。市民ランナーの多くは前者が目的で、ロードレースの公認記録を残したい人が登録します。ただし、街のジョギングやファンラン中心の人には登録の出番はほぼなく、その場合は無理に登録する必要はありません。
登録すると変わる3つのこと(公認記録・登録の部・スタート優遇)
登録で変わるのは主に3点です。第一に、日本陸連公認コースで出した記録が「公認記録」として認められること。第二に、大会で「陸連登録の部」にエントリーできること。第三に、大規模大会でスタートブロックが前方に優遇される場合があることです。
とくに公認記録は、記録会や公認マラソンで正式な自己ベストとして扱われる点が大きな違いです。非公認の草レースでどれだけ速く走っても、それは公認記録にはなりません。記録にこだわるランナーにとって、この差は無視できません。
一方で、ファンランやショートの部が中心の大会では、これらの優遇が用意されていないこともあります。登録=必ず得をする、というわけではなく、出場する大会の規模と種目によって効果が変わる点は理解しておきましょう。
陸連登録は「都道府県陸協への競技者登録」。公認記録の取得・登録の部でのエントリー・スタート優遇の3つが主なメリットで、有効期間は4月1日〜翌3月31日の1年間です。
自己ベスト不問、走力に関係なく誰でも登録できる
「陸連登録って速い人だけの制度でしょ?」と思われがちですが、これは誤解です。陸連登録は自己記録に関係なく、走力の条件なしで誰でも申請できます。キロ7分でしか走れない初心者でも、サブ3ランナーでも、手続きは同じです。
根拠として、登録の要件は「居住地または勤務地の都道府県陸協への申請」であって、タイム証明の提出などは求められません。登録会員数は全国で約40万人にのぼり、その中には第一線のアスリートから市民ランナーまで幅広く含まれています。
したがって「自分は遅いから登録できない」と諦める必要はありません。むしろ、これから記録を狙って本格的に走り込みたい中級者が、目標設定の一環として登録するケースが多いです。ただし、登録できることと登録すべきことは別問題で、走力に見合ったメリットがあるかは後半のレベル別判断で見極めましょう。
「登録の部」と「一般の部」は何が違う?大会での実際の差
大会エントリー画面で並ぶ「陸連登録の部」と「一般の部」。名前は似ていますが、スタート位置・エントリー枠・記録の扱いで実際の差があります。ここでは市民ランナーが体感する具体的な違いを、メリットだけでなく制約まで正直に見ていきます。
整列ブロックが前方になり、混雑ロスを減らせる
登録の部の分かりやすいメリットが、スタートブロックの優遇です。大規模なマラソン大会では、陸連登録者は一般ランナーより前方のブロックに整列できることがあります。数万人規模の都市型マラソンでは、この差が記録に直結します。
理由はシンプルで、後方ブロックからのスタートはスタートロス(号砲から自分がスタートラインを越えるまでの時間)が大きくなるからです。都市型マラソンでは後方だとスタートロスが10分を超えることも珍しくなく、前半は人の波で自分のペースで走れません。前方に並べればこのロスを圧縮できます。
キロ5分台で走れる中級者が号砲直後から自分のペースを刻めるかどうかは、フルマラソンの結果を大きく左右します。混雑区間での追い越しは想像以上に体力を消耗するため、記録を狙う人ほどこの優遇の価値は高いです。ただし、優遇の有無は大会ごとに異なるので、エントリー前に募集要項で確認してください。
エントリー枠が別に用意され、人気大会で当たりやすい
人気大会では、陸連登録者専用のエントリー枠が用意されていることがあります。一般枠が抽選で数倍の倍率になる大会でも、登録の部なら別枠で受け付けられ、結果的に出場チャンスが広がるケースがあります。
スタートロスの話とあわせて、マラソンの記録は「グロス(号砲からゴール)」と「ネット(スタートライン通過からゴール)」で意味が変わります。公認記録として扱われるのがどちらなのかを知っておくと、登録の部の価値がより立体的に見えてきます。

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使いどころは、東京マラソンのような超人気大会の抽選に何年も落ち続けている中級者です。登録の部の枠があるなら、そちらの方が可能性を残せる場合があります。ただし枠の有無や当選しやすさは大会によって大きく異なり、「登録すれば必ず出られる」保証はない点は誤解しないようにしましょう。
完走記録が「公認記録」として正式に残る
登録の部でもう一つ大きいのが、公認コースで出した記録が公認記録として認められることです。日本陸連および各都道府県陸協が主催・公認する競技場やコースを使った大会が対象で、ここで出したタイムは正式な自己ベストとして記録に残ります。
公認記録が意味を持つのは、記録会でのランキングや、上位大会への参加資格を申請する場面です。たとえば一定タイムを切ると出場資格が得られる大会では、公認記録での証明が求められることがあります。非公認レースの自己申告タイムでは通らないケースがあるのです。
一方で、完走証に記録が出るだけで満足なファンランナーには、公認かどうかはほとんど影響しません。公認記録証明書は別途1枚500円で発行できますが、必要になる場面は限られます。自分がその証明を使う機会があるかを冷静に考えてから判断しましょう。
【失敗パターン①】登録の部で申し込んだら仮装NGで当日困った
登録の部にはメリットだけでなく制約もあります。ありがちな失敗が、仲間と仮装ランを楽しむつもりで登録の部にエントリーしたら、一部大会では登録競技者に仮装禁止などのルールが課され、当日スタート地点で慌てるパターンです。
原因は、登録の部が「競技」としての性格を持つため、大会によっては服装や装備に規定を設けているからです。楽しく走りたいだけなのに、優遇目当てで登録の部を選んだ結果、自分のやりたいことと合わなくなってしまうわけです。
登録の部は「記録を狙う人向け」の枠。仮装・写真撮影しながらのファンランが目的なら、優遇を捨ててでも一般の部を選ぶ方が快適に走れます。エントリー前に必ず大会ごとの部門規定を確認しましょう。
陸連登録にかかる費用は年いくら?都道府県で差がある理由

登録を検討するうえで一番気になるのが費用でしょう。陸連登録の料金は「日本陸連分+都道府県陸協分」の合算で決まり、住んでいる地域によって総額が変わります。ここでは具体的な金額の内訳を、実際の数値で見ていきます。
日本陸連への登録料は一律1,000円(19歳以上)
費用のベースとなる日本陸連への登録料は、19歳以上で1,000円、19歳未満で500円と全国一律です。高校・中学校を通じた登録は年齢にかかわらず500円と定められています。この部分はどの都道府県で登録しても変わりません。
つまり、地域による料金差はこの日本陸連分ではなく、上乗せされる都道府県陸協の登録料で生まれます。日本陸連分だけを見れば「1,000円で登録できるの?」と感じますが、実際にはこれに陸協分が加わるため、総額はもっと高くなると理解しておきましょう。
この1,000円は毎年度発生する固定費です。1年間でどれだけ大会に出るか、公認記録を何回残すかを考え、この基礎コストに見合う使い方ができるかを最初に見積もっておくと、登録するかどうかの判断がぶれません。
都道府県陸協分で総額が変わる(東京は合計4,600円)
総額を左右するのが都道府県陸協の登録料です。たとえば東京陸上競技協会の2026年度個人登録(一般)は合計4,600円で、内訳は日本陸連1,000円+東京陸協3,600円となっています。年齢区分によって金額は変わります。
・一般:合計4,600円(日本陸連1,000円+東京陸協3,600円)
・中高校生:合計1,300円(日本陸連500円+東京陸協800円)
・小学生:合計1,000円(日本陸連500円+東京陸協500円)
(出典:東京陸上競技協会 個人登録ページ)
この東京の4,600円はあくまで一例で、都道府県によって陸協分が異なるため、一般的には合計3,000〜5,000円程度が目安になります。自分の登録先がいくらになるかは、必ず居住地または勤務地の都道府県陸協の公式サイトで確認してください。「東京がこうだから自分も同じ」とは限りません。
注意点として、この金額は競技者登録そのものの料金です。大会ごとの参加費は別途かかるため、「登録すれば大会が無料」ではありません。あくまで年会費のようなものと捉えましょう。
決済手数料や記録証明書など、見落としがちな追加コスト
総額を計算するときは、登録料以外の細かなコストも忘れないでください。東京陸協の場合、決済手数料が登録料2,000円までで150円、2,001〜10,000円で230円かかります。金額としては小さいですが、実際の支払い総額はこの分だけ上乗せされます。
さらに、公認記録を書面で証明したい場合は公認記録証明書が1枚500円です。上位大会の参加資格申請などで必要になる場面がありますが、単に完走記録を残すだけなら発行しなくても問題ありません。必要なときだけ発行するのが賢い使い方です。
こうした追加コストは1つずつは小さくても、積み重なると年間の負担感が変わります。とくに「登録はしたけれど結局大会に出なかった」という年は、登録料がまるまる無駄になります。年間の出場予定を先に立ててから登録するのが、コストを無駄にしないコツです。
個人でやる陸連登録の申し込み手順【JAAF-START】
「手続きが難しそう」というイメージから登録をためらう人は多いですが、現在はインターネットで完結します。ここでは、団体に所属していない市民ランナーが個人で登録する具体的な手順と、つまずきやすいポイントを解説します。
JAAF-STARTからの個人登録は4ステップで完結
個人登録は、日本陸連の登録システム「JAAF-START」から申請します。手順はシンプルで、システムへの申込→都道府県陸協による確認・承認→登録料の支払い→登録完了、という流れです。窓口に足を運ぶ必要はありません。
決済はコンビニ決済またはクレジットカードが使え、支払いが確認されると登録が確定します。正しい個人情報の登録、個人情報の第三者提供への同意、連絡用メールアドレスの登録が必要になるので、手続き前に準備しておくとスムーズです。
- Step1: JAAF-START(start.jaaf.or.jp)でアカウントを作成し、個人情報とメールアドレスを登録
- Step2: 居住地または勤務地の都道府県陸協を選び、個人登録を申請
- Step3: 陸協の承認後、コンビニまたはクレジットカードで登録料を支払う
- Step4: 登録完了の通知を確認し、登録番号を控えて大会エントリーに使う
注意点として、承認は陸協側の作業を挟むため即日完了しないことがあります。大会エントリーの締切間際に登録を始めると間に合わないリスクがあるので、時間に余裕をもって申請しましょう。
登録は毎年4月〜翌3月、春先の受付開始直後は混雑する
陸連登録の有効期間は4月1日から翌年3月31日までで、毎年度あらためて登録する必要があります。2026年度の受付は、たとえば東京陸協では2026年3月2日13時から開始されました。年度替わりのタイミングで一斉に手続きが始まります。
この受付開始直後は申請が集中し、システムが混み合いやすい時期です。とくに春先の大会シーズンに向けて登録を急ぐ人が多いため、早めに手続きを済ませておくと安心です。締切ぎりぎりに動くと、承認待ちで大会に間に合わない事態も起こり得ます。
ここで押さえたいのが、大会選びとの連動です。出たい大会のエントリー時期から逆算し、その前に登録を完了させておく段取りが大切になります。関東エリアで出場する大会を探している人は、エントリー方式まで含めて大会を比較しておくと計画が立てやすいです。

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団体登録との違いは「5名以上でチームを組むかどうか」
登録には個人登録のほかに団体登録があり、市民ランナーはどちらを選ぶか迷うことがあります。団体登録は5名以上でチーム単位に登録する方式で、登録料は団体として10,000円(高校は8,000円)が設定されています。
ランニングクラブに所属している人は団体登録になることが多く、その場合は個人で申請する必要はありません。一方、どこにも所属していない一般の市民ランナーは個人登録を選びます。自分がクラブに入っているかどうかで、選ぶべき登録方法が決まります。
注意したいのは、団体登録は仲間内で費用を分担できる一方、5名という人数要件があること。少人数のゆるいランニング仲間では条件を満たせないこともあります。所属クラブがなければ、素直に個人登録を選ぶのが確実です。
陸連登録番号とJAAF-ID(会員番号)は別物
登録が完了すると番号が発行されますが、ここで混同しやすいのが「陸連登録番号」と「JAAF-ID(日本陸連会員番号)」の違いです。大会エントリーの際にどちらを入力するのか分からず戸惑う人が少なくありません。
大まかに言うと、JAAF-IDはJAAF-STARTシステム上の個人アカウントを識別する番号で、陸連登録番号はその年度に競技者登録したことを示す番号という位置づけです。大会エントリーで「陸連登録番号」を求められた場合は、年度の競技者登録に紐づく番号を入力します。
実務上のポイントは、登録完了通知やマイページで自分の番号を必ず控えておくことです。エントリー時に番号が分からず慌てるのはよくある失敗なので、スクリーンショットやメモで手元に残しておきましょう。正確な番号の位置づけは、登録先の陸協や日本陸連公式の案内で最終確認するのが確実です。
陸連登録のメリットを市民ランナー目線で正直に
ここまで制度を見てきましたが、「結局、自分にとって得なの?」が知りたいところでしょう。ここでは市民ランナーが実際に受けられる恩恵を、過大評価せず正直に整理します。良い面だけでなく、期待しすぎない方がいい部分も含めてお伝えします。
人気大会の抽選で当選チャンスが広がる可能性
登録の最大の実利は、人気大会での当選チャンスの広がりです。前述のとおり登録者専用枠が用意される大会があり、一般枠が高倍率でも別ルートで出場できる可能性が残ります。何年も抽選に落ちている人には見逃せないメリットです。
理由は、登録の部が「競技志向のランナー向け」という位置づけで、一般枠とは別の募集枠を持つ大会があるからです。抽選のプールが分かれることで、結果的に当たりやすくなる構図です。ただし、これは大会ごとの制度設計に依存します。
だからこそ、狙っている大会が登録者枠を設けているかを事前に確認することが重要です。枠がない大会では、この恩恵はゼロです。「登録すればどの大会も当たりやすい」と一般化せず、自分の出たい大会の要項を個別にチェックしましょう。
公認記録として自己ベストが公式に残る
2つ目の恩恵が、公認記録として自己ベストが公式に残ることです。公認コースで出したタイムは正式な記録として扱われ、記録会でのランキングや上位大会の資格申請に使えます。記録にこだわるランナーにとっては大きな価値です。
この価値が生きるのは、明確な数値目標を追いかけているランナーです。サブ4、サブ3.5といった壁を越えたとき、それが公認記録として残るかどうかは達成感にも実利にも関わります。自己申告のタイムより、公認記録の方が対外的な説得力があります。
逆に、完走することそのものが目標のランナーには、公認かどうかはあまり関係ありません。自分が「記録派」なのか「完走派」なのかで、このメリットの重みは大きく変わります。まずは自分のランニングの目的をはっきりさせることが先決です。
【逆張り視点】実は優遇の恩恵は「年に1回あるかないか」
ここで正直な逆張り視点をお伝えします。実は、陸連登録の優遇を実際に受けられる機会は、多くの市民ランナーにとって「年に1回あるかないか」程度というのが本音です。登録者自身が「思ったより出番がなかった」と語るケースは珍しくありません。
年に数回しか大会に出ない市民ランナーの場合、スタート優遇も登録者枠も使う機会が限られます。「登録の部で出た大会が年に1本だけ」なら、4,600円の登録料はやや割高。まずは自分が年間何本の公認大会に出るかを数えてから、費用対効果を判断するのが現実的です。
つまり、登録のメリットは「たくさん大会に出て、記録を狙う人」ほど大きくなり、「年に1〜2本ゆるく走る人」には薄いということです。制度そのものは良くできていますが、活用頻度が低ければコストに見合いません。自分の年間出場ペースと照らして冷静に判断しましょう。
登録する前に知っておきたいデメリットと注意点
メリットを見てきましたが、判断には負の側面を知ることも欠かせません。陸連登録には費用・手間・制約という3つのデメリットがあります。ここを理解せずに登録すると「思っていたのと違った」となりがちなので、正直にお伝えします。
年間3,000〜5,000円の費用と、毎年の更新手続き
最初のデメリットは、年間3,000〜5,000円程度の費用と、それが毎年発生することです。一度払えば終わりではなく、年度ごとに更新して支払い続ける必要があります。大会にあまり出ない年でも、この固定費はかかります。
金額だけ見れば大きな負担ではありませんが、問題は「使わなかった年」の存在です。仕事や体調で大会に出られなかった年は、登録料がまるごと無駄になります。年に1本しか公認大会に出ないなら、その1本のために数千円を払う計算になります。
だからこそ、登録は「今年は本気で大会に出る」と決めた年にするのが合理的です。なんとなく登録して放置するのが一番もったいないパターン。1年ごとに出場計画を立て、必要な年だけ登録するという使い方も十分にありです。
【失敗パターン②】更新を忘れて記録が公認扱いにならなかった
2つ目のデメリットに直結する典型的な失敗が、更新忘れです。陸連登録は1年ごとの更新制で、前年に登録したまま新年度の更新を忘れると、その資格は失効します。「去年登録したから今年も大丈夫」と思い込むのが落とし穴です。
実際にありがちなのが、更新を忘れたまま大会に登録の部で申し込もうとして受理されず、慌てて一般の部に切り替える、あるいは狙っていた公認記録が残せなかったというケースです。年度替わりの3〜4月は、登録状況を必ず確認する習慣をつけましょう。
陸連登録は自動更新されません。有効期間は毎年3月31日まで。春の大会で登録の部にエントリー予定なら、4月の年度替わり直後に更新済みかを必ずチェック。更新忘れは「公認記録を狙っていたのに残せない」という取り返しのつかない失敗につながります。
大会によっては仮装NGなど、登録者ならではの制約もある
3つ目のデメリットが、登録者に課される制約です。一部の大会では、登録の部の参加者に対して仮装禁止といった規定を設けていることがあります。競技としての位置づけがある分、自由度が下がる場面があるのです。
これが問題になるのは、記録より「楽しむこと」を優先したいランナーです。せっかく仲間と仮装ランを計画していても、優遇目当てで登録の部を選ぶとルールに引っかかる可能性があります。優遇と自由度はトレードオフの関係にあると考えましょう。
対策はシンプルで、エントリーする大会の募集要項で部門ごとのルールを事前に確認することです。「登録の部=良いことばかり」ではなく、自分の走り方に合った部門を選ぶ視点が大切です。楽しむのが目的なら、あえて一般の部を選ぶ判断も正解になります。
あなたは登録すべき?レベル別・目的別の判断基準
ここまでの情報をふまえ、最後に「結局、自分は登録すべきか」に答えを出しましょう。判断はランナーのレベルと目的によって変わります。初心者・中級者・上級者それぞれに向けて、具体的な基準を示します。自分に近いタイプを見つけてください。
初心者(完走目標)は基本的に登録不要
まず完走を目標とする初心者は、基本的に陸連登録は不要です。理由は、この段階では公認記録の必要性がほぼなく、スタート優遇や登録者枠の恩恵を活かす場面も限られるからです。まずは走ること自体を楽しむ時期です。
具体的には、初マラソン完走を目指している人や、年に1〜2本の市民マラソンに一般の部で出る人が該当します。この層は登録料を払っても使う機会が少なく、費用対効果が合いません。まずは一般の部で経験を積むのが現実的です。
ただし例外として、抽選倍率の高い人気大会にどうしても出たくて登録者枠を狙う場合は、初心者でも登録する価値があります。「完走目標だから絶対に不要」ではなく、出たい大会の性質次第で柔軟に考えましょう。
サブ4〜サブ4.5を狙う中級者は「検討する価値あり」
次にサブ4〜サブ4.5を狙う中級者は、登録を検討する価値があります。記録を意識し始め、年に複数の大会に出るようになると、スタート優遇や公認記録のメリットが実際に効いてくるからです。混雑ロスの削減は記録に直結します。
この層は、都市型マラソンで自分のペースを最初から刻めるかどうかがタイムを左右します。前方ブロックからスタートできれば、序盤の人混みで消耗せずに済みます。年3本以上公認大会に出るなら、登録料の元は取りやすいでしょう。
サブ4は市民ランナーにとって大きな壁で、達成率は全体の2割ほどとされます。この壁に本気で挑むなら、環境面を整える一手として登録を考える価値は十分にあります。サブ4の攻略法とあわせて、自分の練習計画を見直してみてください。

「サブ4」という言葉を初めて聞いて、なんとなく速いランナーの称号だとは分かっても、具体的にどれくらいのペースで走ればいいのか、自分に届く目標なのか、ピンとこない…
サブ3.5以上・記録重視のランナーは登録を推奨
最後に、サブ3.5以上を狙う、あるいは記録を明確に追いかけている上級者には、陸連登録を推奨します。公認記録が必須になる場面が増え、優遇の恩恵を最大限に活かせる層だからです。この段階では登録は「投資」として回収できます。
理由は、上位大会の参加資格に公認記録が求められたり、記録会に出場したりする機会が増えるためです。年間の出場本数も多く、スタート優遇や登録者枠を頻繁に使うことになります。数千円の登録料は、得られるメリットに対して十分に割安です。
注意点として、上級者でも「今年はケガでほとんど大会に出ない」といった年は、登録を見送る判断もあり得ます。レベルが高い=機械的に毎年登録、ではなく、その年の目標と出場計画に応じて判断するのが賢い付き合い方です。
- ☑ 今年、公認大会に何本出る予定か数えたか
- ☐ 出たい大会に「登録の部」や登録者枠があるか確認したか
- ☐ 公認記録を実際に使う場面(資格申請など)があるか
- ☐ 自分の居住地の陸協の登録料総額を調べたか
- ☐ 毎年の更新手続きを忘れず続けられそうか
まとめ|陸連登録は「記録を狙う年」に価値が最大化する
陸連登録は、日本陸連と都道府県陸協への競技者登録を通じて、公認記録の取得・登録の部でのエントリー・スタート優遇といったメリットを得る仕組みです。自己ベストに関係なく誰でも登録でき、年間の総額は都道府県によって異なりますが、東京陸協の一般で4,600円、一般的には3,000〜5,000円程度が目安になります。
一方で、費用は毎年かかり、更新を忘れると資格が失効します。優遇を実際に使う機会は市民ランナーだと年に数回程度にとどまることも多く、大会にあまり出ない年はコストが無駄になりがちです。だからこそ、機械的に毎年登録するのではなく、「今年は本気で記録を狙う」と決めた年に登録するのが最も費用対効果が高い付き合い方です。
最初の一歩は、この1年で公認大会に何本出るかを紙に書き出してみることです。3本以上出て記録も狙うなら登録を前向きに、年1本のファンラン中心なら一般の部で十分。自分の出場計画がはっきりすれば、登録すべきかどうかの答えは自然と見えてきます。まずは出場したい大会の募集要項を開き、「登録の部」があるかを確認するところから始めましょう。
※本記事の登録料・手続き・スケジュールは記事作成時点の情報です。最新の登録料や受付期間は、日本陸上競技連盟 公式サイトの登録案内、およびJAAF-STARTや各都道府県陸上競技協会の公式サイトで必ずご確認ください。

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