「ペガサス42って、結局41から何が変わったの?」——ナイキのランニングシューズを買い替えるタイミングで、この疑問にぶつかる市民ランナーは多いはずです。ネットを見れば「シリーズ史上最高のライド感」という言葉が並ぶ一方で、「重くなった」「素材が古い」という辛口レビューも同じくらい目につきます。
結論から言えば、ペガサス42は7年ぶりに復活したフルレングスのエア ズーム ユニットによって、履き心地の方向性がはっきり変わったモデルです。ただし「速くなるシューズ」ではありません。キロ5分30秒〜6分30秒のジョグを毎週積み上げる人にとっての土台であり、そこから外れると評価が急に厳しくなります。
この記事では、ナイキ公式の発表値、海外ラボの実測データ、国内レビューの数値を突き合わせて、ペガサス42の実像を数字で整理します。とくに出典ごとにバラバラな「重さ」の読み解き方は、買う前に必ず知っておいてほしいポイントです。
・ペガサス42と41の構造の違いと、エネルギーリターン15%向上の中身
・出典で279g・283g・300gと割れる重量データの正しい読み方
・キロ何分で走る人に合うのか、逆に合わないのはどんな人か
・ペガサス プラス・ボメロ18・ストラクチャー26・ノヴァブラスト6との使い分け
ペガサス42の結論|17,600円のデイリートレーナーは誰に効くのか

ジョグの土台を作りたい市民ランナーの「1足目」に戻ってきた
ペガサス42は、月間100〜200kmのジョグを支える1足目として選ぶのが最も外れない使い方です。ミッドソールはリアクトX フォームで、そこにフルレングスの湾曲型エア ズーム ユニットが入っています。ナイキはこの構造によって、前作ペガサス41比でエネルギーリターンが15%向上したと発表しています。
根拠として押さえておきたいのが、スタックハイトがヒール37mm・前足部27mmと前作から据え置きである点です。厚みを増やして反発を稼ぐのではなく、エア ズーム ユニットの形と配置を変えて推進力を作りにいっています。だから接地感覚が急に変わって戸惑う、ということが起きにくい設計です。
具体的な使いどころは、平日の40〜60分ジョグ、週末の90分〜2時間のロング走、レース前のつなぎラン。1足で何でもこなしたい、シューズは1〜2足しか持ちたくないという人に向いています。耐用の目安は約480〜800kmとされているので、月間150kmなら3〜5か月が交換の目安です。
ただし、注意点もはっきりしています。同じ価格帯には200g台前半のシューズが並んでおり、絶対的な軽さでは勝てません。「1足で全部やる」を諦めて練習用とレース用を分けられる人なら、ペガサス42はあくまで練習側の担当だと割り切ったほうが満足度は上がります。
17,600円という値付けをどう見るか|41から1,100円上がった中身
ペガサス42の価格は税込17,600円(本体16,000円)で、税込16,500円だったペガサス41から1,100円の値上げです。2026年4月9日発売で、ナイキ公式オンラインストアと一部店舗で扱われています。
この1,100円が何に化けたのかというと、ほぼフルレングス エア ズーム ユニットの分だと考えていいでしょう。41では前足部とヒールに別々のエア ズームが入っていましたが、42ではかかとからつま先まで1枚につながった湾曲型に変わりました。パーツ点数ではなく構造そのものの変更で、シリーズでも大きな部類の設計変更です。
比較対象を並べるとこの値付けの位置が見えてきます。ナイキ ボメロ18が税込16,500円、ナイキ ストラクチャー26も税込16,500円、ズームX採用のナイキ ペガサス プラスが税込19,800円。ペガサス42はナイキのデイリートレーナー帯の中で、やや上寄りの真ん中という立ち位置です。
デメリットとして正直に書くと、税込17,600円はアシックス NOVABLAST 6とまったく同じ価格です。反発の量や軽さだけを比べるなら、同じ予算でより軽いシューズが選べてしまいます。ペガサス42を選ぶ理由は「弾む量」ではなく「毎日履ける安定感と耐久性」に置いたほうが納得できます。
逆に買わなくていい人|レース向けの軽さを求めるなら別の棚へ
サブ3.5以上を狙っていて、練習でもキロ4分台を刻む人には、ペガサス42は最適解になりません。理由は単純で、28.0cmのカタログ値で約300g(26.5cmで279g)という重量が、速いペースでは負担側に回るからです。
国内レビューでも「キロ5分30秒を切るペース帯では、重量300gが足かせになる」「速いペースでの反応性が物足りない」と指摘されています。プレートが入っていないため、脚が勝手に前に出るような推進のアシストもありません。あくまで自分の脚で走るシューズです。
この層に向くのは、ペガサス プラス(26.5cmで230g、フルレングスのズームX)のような軽量トレーナーか、カーボンプレート入りのレースモデルです。ペガサス42はその2足体制の「土台側」として、Eペースのジョグとリカバリーに回すのが賢い配置になります。
もう1つ、極端に路面のグリップやコーナリング性能を求める人も要注意です。前足部が大きく反り上がった形状のため、急な方向転換で足元がぐらつく感覚があるというレビューがあります。トラックの周回や不整地が多い人は、店頭で曲がる動きまで試してから決めてください。
前作41から何が変わった?7年ぶりに戻ってきた「1枚のエア」の正体
フルレングス湾曲型エア ズームが復活し、エネルギーリターンが15%向上
ペガサス42最大の変更点は、かかとからつま先まで1枚につながったフルレングスのエア ズーム ユニットです。しかもこのユニットは湾曲しており、足の屈曲に合わせて前方への推進力を生み出す設計だとナイキは説明しています。この構造が採用されるのは約7年ぶりです。
数値としては、ナイキ公式が「ペガサス41比で少なくとも15%のエネルギーリターン向上」と発表しています。41では前足部とヒールにエア ズームが分離配置されていたため、中足部で一度反発が途切れる構造でした。1枚につながったことで、着地から蹴り出しまでの体重移動が連続します。
体感として効くのは、キロ5分30秒〜6分30秒のジョグでの後半です。ペースを変えずに走り続けたときに、中足部での失速感が減るのがこの構造の役割になります。逆にスピードを上げていくほど、エア ズームの反発よりも重量のほうが前に出てきます。
注意点として、15%という数字はあくまでナイキの発表値であり、ラボで再現された第三者データではありません。海外レビューでは「エネルギーリターンの感覚はv40やv41とほぼ同じ」という評価もあります。数字を鵜呑みにせず、「途切れなくなった」という質的な変化として受け取るのが実態に近いでしょう。
ミッドソールはリアクトX据え置き。ここが評価の分かれ目
ミッドソール素材は前作と同じリアクトX フォームで、ここは変わっていません。リアクトXは従来のReactフォームより反発性が13%高く、製造時のカーボンフットプリントを約43%削減した素材とされています。
この据え置きが、レビューの評価が割れる最大の理由です。国内レビューでは「リアクトXフォームは競合より古い素材」と明確に指摘されており、PEBA系や超臨界発泡フォームを積んだ2026年の競合と並べると、フォーム単体の弾みでは分が悪くなります。RunRepeatの計測ではミッドソール硬度が37.6と、標準よりやや柔らかめの部類です。
ただし、古い素材=悪い素材ではありません。リアクトXはへたりにくさで評価されている素材で、耐用目安480〜800kmという寿命の長さはここから来ています。月間200km走るランナーにとって、3か月で反発が抜けるフォームより価値があるという判断は十分成立します。
ミッドソール素材ごとの性格の違いは、シューズ選びの土台になる知識です。EVA・PEBA・超臨界発泡の違いを押さえておくと、「なぜこのシューズはこの価格なのか」が読めるようになります。

「厚底」「カーボン」「反発」――シューズ選びでよく聞く言葉ですが、その性能の正体はほとんどがミッドソール、つまりアウトソールとインソールの間にあるスポンジ状の層…
ペガサス42のミッドソール構成は「リアクトX フォーム+フルレングス湾曲型エア ズーム ユニット」。ナイキはエネルギーリターンがペガサス41比で15%向上したと発表しています(出典:ナイキ、2026年4月9日発売時の製品情報)。一方、RunRepeatのラボ計測ではミッドソール硬度37.6、アウトソール厚2.6mm、トゥボックス幅72.3mmという数値が報告されています。
スタックハイト37/27mmは据え置き、前足部には+3mmのスプリング構造
スタックハイトはヒール37mm・前足部27mmで、41から変わっていません。厚底化の方向には走らず、既存の高さの中で中身を組み替えたのがペガサス42です。
その中身の1つが、前足部に加えられた+3mmのスプリング構造です。スタック全体の厚みは据え置きのまま、前足部のクッションが増える設計になっています。着地の位置感覚を変えずに、蹴り出し側の衝撃だけを削るという狙いです。
効いてくるのは、フォアフット寄りの着地をする人と、ロング走の後半です。20km地点を過ぎて前足部への負担が増える局面で、この3mmが効いてきます。逆にヒール着地中心の人は、この変更を感じにくいかもしれません。
注意したいのは、この形状変更が副作用も生んでいる点です。前足部が反り上がった形になったことで、かかとが先に路面に擦る感覚や、鋭く曲がるときのぐらつきを指摘するレビューがあります。歩道の縁石や公園の周回コースなど、曲がる回数が多い環境で使う人は覚えておいてください。
アウトソールのワッフルが刷新、ガイドラインが消えてフラットに
アウトソールはワッフルパターンに切れ込み(フレックスグルーブ)を入れた構成で、41にあったガイドラインがなくなりフラットな設計に変わりました。パターンの配置も靴底の縁周りまで見直されています。
この変更の狙いは、接地面の外周でグリップを取ることと、着地時の安定感を上げることです。RunRepeatの計測ではアウトソール厚は2.6mm。厚すぎず薄すぎない、デイリートレーナーとして標準的な数値です。ワッフルソールは耐久性への評価が高く、480〜800kmという耐用目安を支えている部分でもあります。
使い方としては、アスファルトの一般道と河川敷の舗装路が主戦場です。雨天のマンホールやタイル面では、どのロードシューズでも滑ります。過信は禁物ですが、乾いた路面での耐久性を優先する人には合う仕様です。
デメリットとして、ガイドラインが消えたことで直進方向のガイド感は41より薄くなりました。まっすぐ走らされる感覚を好んで41を選んでいた人は、42で「思ったより自由度が高い」と感じる可能性があります。オーバープロネーション対策を明確に求めるなら、後述するストラクチャー26のほうが素直な選択です。
重さの数字が出典でバラバラなのはなぜか|279g・283g・300gの読み解き方

同じ26.5cmで比べると41=272g→42=279gの「+7g」
ペガサス42の重量を調べると、279g・283g・286g・300gと数字が乱立していて混乱します。答えはシンプルで、比較しているサイズが違うだけです。同じサイズで揃えれば数字はきれいに並びます。
国内レビューで26.5cm同士を比較した数値では、ペガサス41が272g、ペガサス42が279gで、差は+7gです。7gは、ランニングソックス片足分にも満たない差です。「27g重くなった」という数字が独り歩きしていますが、それはサイズ表記が揃っていない比較を並べたときの数字です。
実用上の判断としては、41を履いていた人が42に乗り換えて「重くなった」と感じる主因は、重量そのものより前足部の形状変更と接地感の変化にあると考えるほうが自然です。7gという差は、シューズの中敷きを替えるだけでも動く範囲です。
注意したいのは、この+7gという数字も1つのレビューソースに基づく値である点です。個体差やカラーウェイによる差もあります。店頭で気になるなら、キッチンスケールを借りるより、実際に片足ずつ持ってみて違和感がないか確かめるほうが早いです。
28.0cmカタログ値は約300g。サイズが上がるほど効いてくる
一方で、28.0cm(US10相当)のカタログ値は約300gと報告されています。27.0cmでは約283g、RunRepeatのラボ実測ではUS9で286gという数値でした。サイズが0.5cm上がるごとにおよそ5〜8g増えていく計算で、数字としては素直な並びです。
ここで大事なのは、レビュー記事の「300gは重い」という評価が、28.0cm基準の話だという点です。足のサイズが25.5cmの人が読んで自分の1足に当てはめると、実際には266g前後(25.5cm実測値の報告)になります。34gの差は、シューズの評価をひっくり返すには十分な大きさです。
使い方としては、レビューを読むときに必ず「何cmで測ったか」を確認する習慣をつけてください。サイズ表記のないレビューの重量は、比較材料としては使えません。ランニングスタイルの比較表では、可能な限り26.5cmで揃えて掲載しています。
「A社は250g、ペガサス42は300gだから重い」——この比較、A社が27.0cm、ペガサス42が28.0cmの数値だとしたら成立しません。実際に同じ26.5cmで並べると差はぐっと縮まります。
対策:重量を比べるときは必ず同一サイズの数値で並べる。サイズ表記がない情報源の重量は、判断材料に使わない。
公称ドロップ10mmに対しラボ実測は14.0mm。かかとの高さをどう捉えるか
ペガサス42の公称ドロップは10mm(ヒール37mm/前足部27mm)ですが、RunRepeatのラボ実測ではヒール36.0mm・前足部22.0mm、ドロップ14.0mmという結果が出ています。公称より4mm大きい数値です。
この差が生まれるのは、インソールを含めるかどうか、測定位置をどこに取るかといった計測方法の違いによるものです。どちらかが間違いというより、測り方が違うと理解してください。実務上は「公称10mmのシューズの中では、かかと寄りが高めに感じられる可能性がある」という読み方が妥当です。
使い分けの話に落とすと、ドロップが高めのシューズはかかと着地のランナーと相性が良く、アキレス腱やふくらはぎへの負担が軽くなります。逆にフォアフット着地に移行中の人は、前足部が薄く感じられる場面があります。
注意点として、ドロップ4mm前後のシューズから乗り換える人は、ふくらはぎの使い方が変わります。いきなり20km走に投入せず、5〜10kmのジョグを3〜4回はさんで脚を慣らしてください。ドロップ差の急変は、シューズ由来のトラブルで最も多い原因の1つです。
ペガサス42が本当に活きるのはキロ5分30秒〜6分30秒のジョグ
スイートスポットはキロ5分30秒〜6分30秒
ペガサス42が最も気持ちよく走れる速度帯は、キロ5分30秒〜6分30秒です。100km実走レビューでも、リカバリージョグ(キロ6分以上)とジョグ・LSD(キロ5分30秒〜6分)で最高評価、テンポ走(キロ5分〜5分30秒)で評価が一段落ちるという結果が報告されています。
理由は構造にあります。フルレングスのエア ズームは接地時間がやや長いペースで反発を返しやすく、リアクトXの柔らかめのクッション(硬度37.6)が着地衝撃を吸収します。この2つが噛み合うのが、ちょうどこの速度帯です。
フルマラソンに当てはめると、サブ4.5〜サブ5の目標ペースに近い帯域です。つまり、レース本番のペースで練習を積むランナーにとっては、練習も本番も1足でカバーできる可能性があります。サブ4を狙う人にとっては、Eペースジョグ担当のシューズという位置づけになります。
注意点は、この帯域から外れたときの落差です。キロ4分台では重量が効いてきますし、逆にキロ7分台のウォーク寄りのペースでは、エア ズームの反発をほとんど引き出せません。「速すぎても遅すぎても持ち味が出ない」タイプのシューズだと理解しておいてください。

「ジョギングのペースってキロ何分が正解なの?」——走り始めた人がまず最初にぶつかる疑問です。ネットで調べるとキロ6分、7分、8分とバラバラな数字が出てきて、結局…
リカバリージョグとロング走で真価を発揮する理由
ペガサス42が最も価値を出すのは、疲労が溜まっている日のリカバリージョグと、90分を超えるロング走です。この2つはどちらも「速さ」ではなく「脚を守りながら時間を積む」ことが目的だからです。
根拠は、スタックハイト37/27mmという十分な厚みと、前足部に追加された+3mmのスプリング構造です。ポイント練習の翌日、脚が張っている状態で30〜40分をキロ6分30秒で流すとき、この厚みが着地衝撃を受け止めてくれます。
具体的な組み方としては、週3日走るなら「火曜:ペガサス42でジョグ40分/木曜:軽量シューズでペース走/日曜:ペガサス42でロング走90分」といった配置です。42を2回、軽量シューズを1回という配分が、脚づくりと刺激のバランスが取れます。
デメリットも書いておくと、ロング走で使い込むほど摩耗は進みます。耐用目安480〜800kmの中央値を取って600kmとすると、週2回・1回12kmで25週、およそ半年です。半年ごとの買い替えを前提に予算を組んでおくと、ソールが減った状態で走り続ける事故を防げます。
テンポ走に使うと物足りなくなる境界線
キロ5分00秒〜5分30秒のテンポ走に投入すると、評価は「使えるが最適ではない」に変わります。100km実走レビューでも、この帯域の評価は5段階中3という位置づけでした。
理由は、リアクトXの反発特性が速い接地に追いつききらないことと、重量が効いてくることの2点です。プレートが入っていないため、ペースを上げたときに脚を前に運ぶアシストがありません。速いペースでは自分の筋力で押し切る形になります。
それでも使う場面はあります。テンポ走を「レースペースの練習」ではなく「脚づくりの一環」として捉えるなら、あえて重いシューズで走ることには意味があります。レース当日に軽量シューズを履いたときの解放感は、この積み重ねから生まれます。
注意点は、これを毎回やるとフォームが崩れることです。重さに引きずられてストライドが縮み、ピッチだけが上がる走りになりがちです。テンポ走でペガサス42を使うなら、月に1〜2回まで。それ以上の頻度でスピード練習をするなら、軽量トレーナーを別に用意してください。
レビューでよく見る「最新のスーパートレーナーのように跳ねない」という指摘は、欠点ではなく設計の結果です。ペガサスは44年続くシリーズの中で一貫して「毎日履ける普通のシューズ」を担ってきました。跳ねるシューズは楽しい反面、脚の使い方を固定します。週5日同じシューズを履くなら、跳ねないことは長所になり得ます。派手なシューズをレース用に1足持っているランナーほど、この評価軸が腑に落ちるはずです。
サイズ選びで失敗する人の共通点|前足部が広がったぶん起きること
ラストが変わり、41がきつかった人ほど印象が変わる
ペガサス42では、つま先と前足部にゆとりを持たせるようアナトミカル ラスト(木型)が変更されました。RunRepeatのラボ計測ではトゥボックス幅が72.3mmで、41で記録された数値より広くなっています。
この変更の効果は、41で「前足部がきつい」と感じていた人ほど大きく出ます。国内レビューでも「前作41の窮屈さが嘘のように消えた」「ボメロシリーズに近いゆったりとした解放感がある」という評価が並んでいます。ナイキのシューズは全体的に細身の傾向がありましたが、42はその印象を薄めにきています。
使い方の目安としては、41と同じサイズで問題ありません。実走レビューでも「ペガサス41と同サイズでOK」と明記されています。むしろサイズを上げると、広がった前足部と相まって靴の中で足が動きすぎるリスクがあります。
注意点は、足幅が細い人には逆効果になり得ることです。ゆとりが増えた分、細足の人はホールド感が足りず、下り坂で足が前に滑る感覚が出ることがあります。この場合はランニング用の厚手ソックスに変えるか、シューレースの通し方(かかとロック)で調整してください。
41で前足部が窮屈だった記憶からハーフサイズ上げて買い、42では木型が広がっているため靴の中で足が前後に動き、ロング走の下りで爪先が繰り返しぶつかって爪下出血を起こす——これがいま最も起こりやすい失敗です。
対策:42は41と同サイズが基本。それでも締まりすぎると感じる場合のみ、サイズアップではなくワイドモデルを選ぶ。試着は夕方(足がむくんだ状態)に、実際に履くソックスを持参して行う。
ワイドモデルとBy Youという2つの逃げ道
ペガサス42にはワイドモデルが用意されており、さらにナイキ By Youのカスタムオーダーでもワイドが選べます。標準幅で指の付け根が当たる人は、サイズを上げる前にこちらを検討してください。
ワイド展開がある意味は大きく、幅で困っている人がサイズアップという間違った解決策に走らずに済みます。26cmのワイドを履いたレビューでは「ジャストサイズで締め付け感はない」と報告されており、幅の問題は幅で解決するのが正解だとわかります。
選び方の目安は、普段の靴で3E以上を選んでいる人、足の親指の付け根が靴に当たる人、夕方になると足がむくんで窮屈になる人です。この条件に1つでも当てはまるなら、標準幅とワイドの両方を試着してから決めてください。
注意点は在庫です。ワイドモデルはカラー展開・サイズ展開が標準幅より限られる傾向があります。欲しい色が標準幅にしかない場合、幅を妥協して色を取るか、色を諦めて幅を取るかの判断になりますが、走る道具としては迷わず幅を優先してください。
甲高の人はシューレースの締め方で調整する
足の甲が高い人は、前足部が広くなった42でも甲の圧迫を感じることがあります。これはサイズやワイドでは解決しにくく、シューレースの通し方で対処するのが現実的です。
具体的な方法は2つ。1つは、甲が当たる位置のアイレット(穴)を1つ飛ばして通し、その部分の圧力を逃がす「ウィンドウレーシング」。もう1つは、いちばん上のアイレットを使ったかかとロックで、甲を強く締めなくてもホールドが得られるようにする方法です。
実際の場面としては、走り始めて3〜5kmで甲がしびれる、足の指先の感覚が鈍くなる、といった症状が出たらこの調整のサインです。走行中でも立ち止まって緩められるよう、結び方は蝶結びのままにしておいてください。
注意点として、圧迫感が特定の一点に集中して痛みが続く場合は、レーシングでは解決しません。木型そのものが合っていない可能性が高いので、別のブランド・別のモデルを検討したほうが早いです。無理に履き続けて足のトラブルを抱えるのは本末転倒です。
ナイキ4モデル+ノヴァブラスト6と並べてわかる立ち位置
26.5cmで揃えた重量比較表(ランニングスタイル調べ)
重量比較で最も多い誤解は、サイズ表記の異なる数値を並べてしまうことです。そこで、可能な限り26.5cmの実測・公表値で揃えた比較表を作りました。同じ物差しで並べると、ペガサス42の位置がはっきり見えてきます。
| モデル | 重量 | 価格(税込) | ミッドソール |
|---|---|---|---|
| ナイキ ペガサス 42 | 279g(26.5cm) | 17,600円 | リアクトX+フルレングス エア ズーム |
| ナイキ ペガサス 41 | 272g(26.5cm) | 16,500円 | リアクトX+分離型 エア ズーム |
| ナイキ ペガサス プラス | 230g(26.5cm) | 19,800円 | ズームX フルレングス(プレートなし) |
| ナイキ ボメロ 18 | 290g(26.5cm) | 16,500円 | ズームX+リアクトXの2層構造 |
| ナイキ ストラクチャー 26 | 291g(26.5cm) | 16,500円 | リアクトX フルレングス |
| アシックス NOVABLAST 6 | 253g(27.0cm) | 17,600円 | FF BLAST MAX+FF TURBO SQUARED |
表から読み取れるのは、ペガサス42がナイキのデイリートレーナー群の中では「軽い側」に位置するという事実です。ボメロ18の290g、ストラクチャー26の291gと比べれば11〜12g軽く、ペガサス プラスの230gとは49gの差があります。「ペガサス42は重い」という評価は、ナイキ内部ではなく他社の軽量トレーナーと比べたときの話です。
なお、NOVABLAST 6のみ27.0cmの数値です。26.5cm換算ではおよそ5〜8g軽い計算になります。それでもペガサス42より20g以上軽く、ここが「同じ17,600円ならノヴァブラストのほうが軽い」と言われる根拠になっています。
ペガサス プラスとの違い|230gのズームXは何が違う棚か
ペガサス プラス(税込19,800円)は、名前が似ていますが完全に別カテゴリのシューズです。ミッドソールはフルレングスのズームXで、26.5cmで230g、スタックハイトはヒール35mm・前足部25mm、ドロップ10mmという構成になっています。
決定的な違いは素材です。ズームXはナイキのレースモデルに使われるスーパーフォームで、リアクトXより軽く反発が強い代わりに、耐久性では劣ります。プラスにはプレートが入っていないため、カーボンシューズほど脚を選ばずに扱えるのが特徴です。
使い分けの目安は明確で、ペガサス42が「毎日のジョグ」、ペガサス プラスが「週1〜2回の速い日」です。2足体制を組むなら、42でEペースの土台を作り、プラスでキロ5分前後のペース走をこなす構成が噛み合います。
注意点は価格差2,200円ぶんの割り切りです。プラスをジョグに毎日使うと、ズームXの寿命が先に来ます。反発を保ちたいなら使用頻度を絞る必要があり、結果的に2足買わないと運用が成立しません。1足で済ませたい人は、迷わずペガサス42です。
ボメロ18・ストラクチャー26との住み分け
同じナイキで税込16,500円という価格が並ぶボメロ18とストラクチャー26は、それぞれ役割が違います。ボメロ18は上部にズームX・下部にリアクトXの2層構造でソール厚46mmという極厚クッション、ストラクチャー26はリアクトXのフルレングスに安定機構を組み合わせた安定志向モデルです。
ストラクチャー26の安定機構は「MIDFOOT SUPPORT SYSTEM」と呼ばれ、土踏まず側のミッドソールを高くし、中足部のアウトソール幅を広げることでオーバープロネーションを抑制する仕組みです。着地でかかとが内側に倒れ込みやすい人には、ペガサス42より明確に向いています。
選び方の順序としては、まず「安定性に不安があるか」を判断してください。過去にシンスプリントや足底の痛みを経験している、靴底の内側だけが極端に減る、という人はストラクチャー26。とにかく脚への衝撃を減らしたい、ゆっくり長く走りたいという人はボメロ18。どちらでもない標準的なランナーがペガサス42です。
デメリットの共有として、ボメロ18・ストラクチャー26はどちらも290g台で、ペガサス42より重くなります。46mmという厚みは接地感覚が独特で、初めて厚底を履く人は最初の数kmで違和感を覚えることがあります。段階を踏むなら、まずペガサス42から入るほうが失敗が少ないです。
ノヴァブラスト6と迷ったら|253g・ドロップ8mmとの選び分け
アシックス NOVABLAST 6は税込17,600円で、ペガサス42とまったく同じ価格です。27.0cmで253g、ドロップ8mm、ミッドソールはFF BLAST MAXに前部のFF TURBO SQUAREDを組み合わせた構成で、2026年7月10日発売の最新モデルです。
比較すると、軽さと弾む感覚ではNOVABLAST 6が上、安定感と耐久性ではペガサス42が上という整理になります。NOVABLAST 6のスタックハイトは41.5mm/33.5mmと報告されており、ペガサス42の37mm/27mmより厚く、その分だけ接地の高さも変わります。
選び分けの基準は走り方です。走っていて楽しい、跳ねる感覚が欲しいならNOVABLAST 6。淡々と距離を積みたい、シューズに主張してほしくないならペガサス42。ドロップも10mmと8mmで差があるので、かかと着地が強い人はペガサス42のほうが馴染みやすいでしょう。
注意点は、両方を同時期に新調しないことです。ドロップが2mm違うシューズを日替わりで履くと、脚の使い方が定まらず違和感の原因になります。乗り換えるなら、1足を使い切ってから次に移るのが安全です。

「ノヴァブラスト6の発売日はいつ?」「今ある5を買い替えるべきか、それとも6を選ぶべきか」——アシックスの人気クッションシューズ最新作が気になっている方は多いは…
レベル別の使い分けと、買う前に確認したい5項目
初心者(完走目標)|1足目として最も外れがない
これからフルマラソン完走を目指す人にとって、ペガサス42は最も無難で、かつ後悔しにくい1足です。理由は、キロ6分〜7分という初心者の実走ペースがスイートスポットの上限に近く、クッションの厚みと耐久性が「走る量を増やす時期」と噛み合うからです。
初期の使い方としては、週2〜3回・1回30〜40分のジョグから始めて、月間走行距離を60km→100kmと積み上げていく段階で使い続けます。この時期は速さより頻度が大事なので、480〜800kmという耐用目安の長さが効いてきます。
逆に、この段階でカーボンプレート入りのレースシューズに手を出すのは避けてください。反発を活かせるだけの筋力とフォームが整っておらず、故障のリスクが上がります。ペガサス42のような一般的なドロップ・厚みのシューズで脚をつくるのが先です。
注意点は、1足を毎日履かないことです。ミッドソールは走った後に24時間ほどかけて回復します。週4日以上走るなら、2足を交互に回すほうがシューズの寿命も脚のコンディションも守れます。
中級者(サブ4〜サブ5)|2足使いの土台に置く
サブ4〜サブ5を狙う層では、ペガサス42は「土台側の1足」として使うのが正解です。目標ペースはサブ4でキロ5分41秒、サブ4.5でキロ6分24秒、サブ5でキロ7分06秒。このうちサブ4.5・サブ5の目標ペースは、42のスイートスポットにほぼ重なります。
具体的な組み方としては、サブ4を狙うなら「ジョグとロング走=ペガサス42/ペース走とレース=軽量モデル」。サブ4.5〜サブ5なら「ペガサス42を主力に、レースだけ別の軽量モデル」という配分が現実的です。週の8割を42で走る形になります。
この層で効いてくるのが、42の耐久性です。月間150kmを走ると、耐用目安600kmとして4か月で交換のサイクルになります。年間で3足弱。この計算をしておくと、シューズ予算を年間で組めるようになります。
デメリットとして、キロ5分30秒を切る練習が週2回以上あるなら、42の出番は減ります。その場合はペガサス プラス(230g)を主力にして、42をリカバリー専用に落とすほうが噛み合います。
上級者(サブ3.5以上)|リカバリー専用として割り切る
サブ3.5以上のランナーにとって、ペガサス42はメイン練習用ではなく、リカバリージョグと脚づくり専用の位置づけになります。サブ3.5の目標ペースはキロ4分58秒で、42のスイートスポットから完全に外れているためです。
それでも価値があるのは、ポイント練習の翌日です。キロ6分30秒でつなぐ30〜40分のジョグに、37mm/27mmのクッションと290g前後の重さは適しています。あえて重いシューズで走ることで、レース用シューズを履いたときの軽さが際立つという効果もあります。
使い方の目安は、週3回のポイント練習に対して週2回のリカバリーラン。この2回を42に任せ、ポイント練習とレースは軽量モデルとカーボンモデルで回します。3足体制の一番下を支えるのがペガサス42の役割です。
注意点は、この使い方だと年間の走行距離が42に集中しないため、耐久性のメリットを活かしきれないことです。コストパフォーマンスを重視するなら、より安価なモデルでリカバリー枠を埋めるという判断も成立します。
- ☑ 普段のジョグはキロ5分30秒〜6分30秒に収まっているか
- ☐ 41と同サイズで試着したか(サイズアップは原則しない)
- ☐ 3E以上の靴を選ぶ人はワイドモデルも試したか
- ☐ いま履いているシューズのドロップは何mmか確認したか
- ☐ 480〜800kmで買い替える前提で予算を組めているか
- Step1: いま履いているシューズの重量とドロップを調べ、ペガサス42の279g(26.5cm)・10mmと比べる
- Step2: 直近1か月のジョグの平均ペースを確認し、キロ5分30秒〜6分30秒に入っているか判定する
- Step3: 夕方に、実際に走るソックスを持参して標準幅とワイドの両方を試着する
まとめ:ペガサス42は「跳ねない」からこそ毎日履ける1足
ペガサス42を一言でまとめるなら、「7年ぶりに構造を変えたのに、性格は変えなかったシューズ」です。フルレングスの湾曲型エア ズーム ユニットという大きな設計変更を入れながら、スタックハイト37mm/27mmもドロップ10mmも据え置き、ミッドソールのリアクトXも変えませんでした。結果として、41から乗り換えても走りの感覚が大きく崩れません。
一方で、税込17,600円という価格には、同じ金額でより軽いアシックス NOVABLAST 6(27.0cmで253g)が並んでいるという現実もあります。反発の量や弾む楽しさを求めるなら、ペガサス42は最良の選択にはなりません。それでもこの1足を選ぶ理由は、480〜800kmという耐用目安の長さと、毎日履いても脚の使い方を固定しない素直さにあります。
要点を整理します。
- ペガサス42は税込17,600円(本体16,000円)、2026年4月9日発売。41から1,100円の値上げ
- 最大の変更はフルレングス湾曲型エア ズーム ユニットの復活。ナイキ公表でエネルギーリターン15%向上
- 重量は26.5cmで279g。41(272g)との差は+7gで、28.0cmのカタログ値は約300g
- スタックハイトは37mm/27mm据え置き、前足部に+3mmのスプリング構造を追加
- 公称ドロップは10mm、RunRepeatのラボ実測では14.0mm。かかと寄りが高めの設計
- スイートスポットはキロ5分30秒〜6分30秒。テンポ走以上では重量が効いてくる
- サイズは41と同サイズが基本。幅で困ったらサイズアップではなくワイドモデルを選ぶ
最初の一歩としておすすめしたいのは、直近1か月のジョグの平均ペースを確認することです。ランニングウォッチやアプリの履歴を開いて、平均がキロ5分30秒〜6分30秒に入っているなら、ペガサス42はあなたの走りに噛み合います。キロ5分を切っているなら、ペガサス プラスや軽量レースモデルを見に行くほうが満足度は高いはずです。そのうえで夕方に店頭へ行き、実際に走るソックスを履いて標準幅とワイドを両方試す。ここまでやれば、17,600円の買い物で外すことはまずありません。
製品の最新情報・価格はナイキ公式サイトのペガサスシリーズページ、NOVABLAST 6の仕様はアシックスジャパンのプレスリリース、ラボ実測データはRunRepeatの計測レポートで確認できます。※価格・仕様は変更される場合があるため、購入前に公式サイトでご確認ください。




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