「朝の時間を有効に使いたい」「走る習慣をつけたいけど仕事後だと疲れてサボりがち」——そんな悩みを抱えるランナーにとって、早朝ランニングは理にかなった選択肢です。起床直後は血糖値が低く、体が脂肪をエネルギー源として優先的に使いやすい状態。さらに朝日を浴びることでセロトニンが分泌され、集中力やメンタルの安定にもプラスに働きます。ただし、体が十分に目覚めていない時間帯に走ることにはリスクもあります。水分不足による血液ドロドロ状態や、ウォームアップ不足によるケガは、早朝ランナーが陥りやすい落とし穴です。この記事では、早朝ランニングの効果を最大化しつつ安全に走るための具体的な方法を、データと根拠をもとに解説します。
・早朝ランニングが脂肪燃焼に強い科学的な理由と夜ランとの違い
・心筋梗塞リスクを回避する起床後の5ステップ準備法
・レベル別(初心者〜サブ4)の朝ランメニューとペース設定
・三日坊主にならない習慣化テクニックと季節別の服装ガイド
早朝ランニングが脂肪燃焼に効く理由|カギは起床直後の低血糖状態

空腹時の脂肪燃焼率は食後より約20%高い
起床直後の体は、6〜8時間の絶食状態を経て血糖値が低下しています。この状態で有酸素運動を行うと、体はエネルギー源として糖質よりも脂肪を優先的に使います。グリコのスポーツ科学情報によれば、空腹時の運動は食後の運動と比較して脂肪酸化率が高まることが示されています。キロ6〜7分のゆったりペースで30〜40分走るだけでも、体重65kgの人なら約250〜300kcalを消費し、そのうち脂質由来のエネルギー比率が高くなるのが朝ランの特徴です。
ただし空腹状態が長すぎると筋肉のタンパク質が分解されるリスクもあります。走る30分前にバナナ1本(約90kcal)やスポーツようかん1本を摂っておくと、筋分解を防ぎつつ脂肪燃焼のメリットを享受できます。完全な空腹で10km以上走るのは避けたほうが無難です。
夜ランとの消費カロリー差はどのくらい?
同じペース・同じ距離を走った場合、消費カロリーの総量自体は朝も夜もほぼ変わりません。体重60kgの人がキロ6分で5km走れば、朝でも夜でも約300kcalです。差が出るのは「何をエネルギー源にしているか」という内訳の部分。朝は脂質の燃焼比率が高く、夜は糖質の燃焼比率が高い傾向にあります。
つまり「痩せたい」目的なら朝ラン、「スピード練習やインターバルなど高強度トレーニング」なら体温が上がり筋肉がほぐれている夕方〜夜のほうがパフォーマンスを出しやすいです。目的によって使い分けるのが合理的で、どちらか一方が絶対的に優れているわけではありません。
脂肪燃焼に最適なペースはキロ何分?心拍数の目安
脂肪を効率よく燃焼させるには、最大心拍数の60〜70%の強度がベストです。30代なら心拍数114〜133bpm、40代なら108〜126bpmが目安になります(最大心拍数=220−年齢で概算)。ペースに換算するとキロ6分30秒〜7分30秒あたり。会話ができる程度の余裕があるスピードです。
心拍数が上がりすぎると糖質の燃焼比率が高まり、脂肪燃焼の効率が落ちます。早朝はただでさえ体が硬く心拍数が上がりやすいので、ゆっくり入って15分以上経ってからペースを微調整するのがコツです。GPSウォッチやスマートフォンの心拍計測機能を活用しましょう。

「ランニングって実際どのくらいカロリーを消費するの?」——走り始めた人がまず気になるのがこの疑問です。ネットで検索すると「30分で約300kcal」「1km走る…
起きてすぐ走ると心筋梗塞のリスク?安全に走るための5つの準備
起床直後の体はなぜ危険なのか——血液ドロドロと自律神経の切り替え
睡眠中は約500mlの水分が汗や呼吸で失われ、起床時の血液は粘度が高い状態です。この状態で急に激しい運動をすると、血栓ができやすく心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上がります。また、睡眠中は副交感神経が優位ですが、起床とともに交感神経へ切り替わる過渡期にあり、心拍数や血圧が不安定になりやすいのも朝の特徴です。
だからといって早朝ランニングが危険というわけではありません。起床後に適切な準備をすれば、リスクは大幅に軽減できます。問題は「起きて5分でいきなり走り出す」こと。準備に15〜20分かけるだけで安全性はまったく違います。
高血圧や心臓疾患の持病がある方は、早朝の運動について必ず主治医に相談してください。特に冬場は気温差による血圧急上昇のリスクが高まります。体調に少しでも異変を感じたら、走るのを中止してください。
起床後すぐやるべき5ステップ|コップ1杯の水から始める
安全に朝ランを始めるための手順は以下の通りです。まずコップ1杯(200〜250ml)の常温の水を飲みます。冷水は胃腸を刺激するので常温がベターです。次にトイレを済ませ、軽くバナナやゼリーなどを口にします。その後、5分程度の動的ストレッチ(股関節回し・もも上げ・ふくらはぎの伸展)で体を目覚めさせます。そして最初の3〜5分はウォーキングから入り、体が温まってきたらゆっくりジョグに移行しましょう。
この5ステップ——水分補給→トイレ→軽食→ストレッチ→ウォーキングスタート——を習慣にすれば、起床からランニング開始まで約20分。面倒に感じるかもしれませんが、ケガや事故のリスクを考えれば安い投資です。
- Step1: コップ1杯(200〜250ml)の常温水を飲む
- Step2: トイレを済ませ、バナナ1本 or ゼリー1個を補給
- Step3: 動的ストレッチ5分(股関節回し・もも上げ・カーフレイズ)
- Step4: 最初の3〜5分はウォーキングで体を温める
- Step5: キロ7分以上のゆっくりジョグから開始し、徐々にペースを上げる
初心者が見落としがちな「シューズの履き方」と足首の保護
朝は足のむくみが少なく、足のサイズが日中より小さくなっています。そのため、昼に合わせて買ったシューズが朝はゆるく感じることがあります。紐の締め方で調整できますが、あまりにゆるい場合は足が靴の中で動いてマメや爪のトラブルの原因になります。朝ラン用に紐を少しきつめに締め直す習慣をつけましょう。
また、朝は関節の可動域が狭く、足首が硬い状態です。いきなり路面の段差や傾斜を踏むと捻挫しやすいため、最初の1kmはフラットな舗装路を選ぶのが安全です。暗い時間帯に走る場合は反射材やヘッドライトも必須。視認性が低い時間帯の事故は想像以上に多いです。
早朝ランニングで仕事の集中力が上がる3つのホルモン効果

セロトニンが分泌される条件は「朝日+リズム運動」
幸せホルモンと呼ばれるセロトニンは、太陽光を浴びながらリズミカルな運動をすることで分泌が促進されます。早朝ランニングはまさにこの2つの条件を同時に満たす行動です。セロトニンが十分に分泌されると、気分の安定、集中力の向上、衝動的な行動の抑制といった効果が得られます。
特に効果が高いのは、日の出〜朝8時頃までの時間帯です。曇りの日でも室内の照度(約500ルクス)に対して屋外は約10,000ルクスあるため、天気に関わらず外で走ることに意味があります。逆に日焼けを気にして完全にサングラスで目を覆うと、網膜からの光刺激が減りセロトニン分泌が弱まるので注意が必要です。
エンドルフィンの「ランナーズハイ」は朝のほうが起きやすい?
ランニング中に分泌されるエンドルフィンは、痛みを和らげ多幸感をもたらす脳内物質です。朝の低血糖状態では体がストレスを感じやすく、それに対抗するためにエンドルフィンの分泌が活発になるという説があります。医学的に完全に実証されたメカニズムではありませんが、「朝走ると気持ちいい」と感じるランナーが多いのは事実です。
ただしエンドルフィンの分泌には20〜30分以上の継続的な有酸素運動が必要とされています。5分や10分のジョグでは十分な効果を得にくいため、脂肪燃焼と合わせて考えても最低20分は走りたいところです。無理にペースを上げる必要はなく、キロ7分台のゆっくりペースで十分です。
コルチゾールのピークを味方につける朝の走り方
ストレスホルモンとして知られるコルチゾールは、実は起床後30分〜1時間にかけて自然にピークを迎えます(コルチゾール覚醒反応)。このタイミングで適度な運動を行うと、コルチゾールが効率よく代謝され、その後の日中に過剰なストレス反応が出にくくなります。
一方で、起床直後の急激な高強度運動はコルチゾールをさらに上昇させ、免疫機能の低下や疲労感の蓄積につながるリスクがあります。朝ランの強度はあくまで中程度(最大心拍数の60〜70%)に抑え、インターバル走やペース走は体が十分に覚醒した夕方以降に回すのが賢い使い分けです。
セロトニン:気分安定・集中力向上・睡眠の質改善。朝日+リズム運動で分泌促進。
エンドルフィン:多幸感・痛みの軽減。20分以上の有酸素運動で分泌。
コルチゾール:起床後に自然上昇。適度な運動で代謝を促し、日中のストレス耐性が向上。(参考:Nike「朝のランニングで得られるメリット」)
何時に起きて何km走る?レベル別の早朝ランニングメニュー
初心者(月間走行距離〜50km)は週3回・3kmから始める
ランニングを始めたばかりの人が毎朝走る必要はありません。週3回、1回あたり3〜5kmで十分です。ペースはキロ7分30秒〜8分。走ること自体に慣れることが最優先で、距離やペースは気にしなくてOKです。起床時間は走る時間+準備20分+着替え・シャワー20分を逆算して設定しましょう。
3km走るのに25〜30分、準備とクールダウンで40分と見積もると、出勤の約1時間10分前に起きれば余裕があります。7時出勤なら5時50分起床。最初の2週間は「起きて外に出る」だけでも成功。ウォーキング30分からスタートして、体が慣れたらジョグに切り替えるアプローチも有効です。
中級者(サブ5〜サブ4目標)は朝ランをベースジョグに活用する
月間150〜250km走る中級者にとって、早朝ランニングはベースジョグ(回復走・つなぎ走)として最適です。朝にキロ6分〜6分30秒で8〜10kmのジョグを入れ、週1〜2回の夕方〜夜にポイント練習(インターバルやペース走)を組むと、時間配分と練習の質を両立できます。
サブ4を目指すランナーの場合、月間走行距離の約60〜70%をジョグが占めるのが理想的です。そのジョグの大部分を朝に回せば、仕事後のポイント練習に集中できます。ただし朝のジョグでも心拍数が150bpmを超えるようなら、それはジョグではなくテンポ走の強度。朝は「楽に走れるペース」を厳守してください。

「ジョギングのペースってキロ何分が正解なの?」——走り始めた人がまず最初にぶつかる疑問です。ネットで調べるとキロ6分、7分、8分とバラバラな数字が出てきて、結局…
上級者(サブ3.5以上)が朝練に組み込むべきメニュー
サブ3.5以上を目指す上級者は、朝に低強度の距離走(15〜20km、キロ5分30秒〜6分)を入れることで月間走行距離を効率よく積めます。週末のロング走を朝に行い、平日は朝に6〜8kmの回復ジョグという構成が一般的です。
ただし高強度のポイント練習を朝に行うのは推奨しません。起床直後はVO2maxの発揮能力が日中より5〜10%低いというデータがあり、インターバル走やレースペース走の効果が落ちます。朝は「溜める練習」、夕方は「追い込む練習」と割り切りましょう。また、朝に15km以上走る場合は、走る前にエネルギージェル1本(約100kcal)を追加で摂取し、低血糖によるパフォーマンス低下を防ぎましょう。
| レベル | 頻度 | 距離 / 回 | ペース目安 |
|---|---|---|---|
| 初心者 | 週3回 | 3〜5km | キロ7:30〜8:00 |
| 中級者 | 週4〜5回 | 8〜10km | キロ6:00〜6:30 |
| 上級者 | 週5〜6回 | 6〜20km | キロ5:30〜6:00 |
ランニングスタイル調べ・目安値
朝イチで食べる?食べない?空腹ランの正解と失敗パターン

完全空腹ランで「ハンガーノック」に陥った失敗例
ハンガーノックとは、体内の糖質が枯渇して急激にパフォーマンスが低下する状態です。早朝ランニングで意外と多い失敗パターンがこれです。「朝は何も食べないほうが脂肪が燃える」と信じて完全空腹のまま10km以上走り、7km地点で急に力が入らなくなり、冷や汗が出て動けなくなる——こうしたケースは珍しくありません。
体重65kgの人が持つ肝臓グリコーゲンの貯蔵量は約400kcal。睡眠中の基礎代謝で約300kcal消費されるため、起床時にはわずか100kcal程度しか残っていない計算です。この状態でキロ6分・10kmを走ると約650kcal消費するため、糖質が底をつくのは当然です。5km以下なら空腹でも問題ありませんが、それ以上走るなら補給は必須です。
走る前に何を食べる?カロリー別おすすめ補給リスト
走る30分前に摂るなら、消化が速く胃に負担の少ないものが鉄則です。バナナ1本(約90kcal)は最もポピュラーで、糖質+カリウムを素早く補給できます。カステラ1切れ(約160kcal)、スポーツようかん1本(約110kcal)、エネルギージェル1本(約100kcal)も定番です。
避けたいのは脂質やタンパク質が多い食品。おにぎり(梅・塩むすびならOK、ツナマヨはNG)、菓子パン、牛乳などは消化に時間がかかり、走行中に胃もたれや腹痛を引き起こします。走る2時間前に起きて朝食をしっかり食べてから走る方法もありますが、早朝ランの「時間効率の良さ」というメリットが薄れるため、軽食+走後にしっかり朝食が現実的です。
走った後の朝食で回復を最大化する「ゴールデンタイム」
ランニング後30分以内は、筋グリコーゲンの回復速度が通常の約2倍になるゴールデンタイムです。この時間に糖質とタンパク質を3:1の比率で摂ると、筋肉の回復と翌日のコンディションに差が出ます。具体的には、ごはん1杯(約250kcal)+卵1個(約80kcal)+味噌汁が手軽で理想的な朝食です。
プロテインを活用する場合は、走った直後にホエイプロテイン20〜25g(約100kcal)を牛乳か豆乳で飲み、その後にしっかり朝食を摂るのが効率的です。ただし走った直後に固形物を受け付けないタイプの人もいるので、無理に食べず、まずは水分とプロテインドリンクで補給し、30分ほど経ってから朝食を摂るスタイルでも問題ありません。
「体重を早く落としたい」と完全空腹で毎朝10km以上走り続けた結果、慢性的な低血糖状態に陥り、日中の仕事に集中できなくなったというケースがあります。ダイエット目的でも、走る前の最低限の補給(100kcal程度)は省略しないでください。
夏と冬で全然違う!季節別の服装・水分補給チェックリスト
夏(6〜9月)は4時台スタートでも熱中症リスクがある
夏場の早朝ランニングは「涼しいうちに走れる」のがメリットですが、日本の夏は早朝でも気温25℃・湿度80%を超える日が珍しくありません。気温がそれほど高くなくても湿度が高ければ汗が蒸発しにくく、体温調節がうまくいかなくなります。環境省の熱中症予防情報サイトによれば、WBGT(暑さ指数)が25℃以上で警戒レベルとされています。
夏の朝ランでは、走る前に300ml以上の水分を摂り、20分ごとに150〜200mlの補給を心がけましょう。ウェアは吸汗速乾素材のシングレット(ノースリーブ)とショートパンツが基本。キャップは直射日光を防ぎつつ通気性があるメッシュタイプを選びます。5km以内の短い距離でも、必ず水分を携帯してください。
冬(12〜2月)の防寒は「走り出して10分後に快適」を基準にする
冬の早朝は気温0〜5℃まで下がることも多く、走り出しは寒くて当然です。服装選びのコツは「走り始めに少し寒いくらい」がちょうどいいという点。走り出して10分後にちょうど快適になる薄さが正解です。厚着しすぎると汗をかきすぎて、走り終わった後に体が急激に冷えるリスクがあります。
レイヤリングの基本は3層。肌に触れるベースレイヤー(吸汗速乾)、保温のミッドレイヤー(薄手のフリースやロングスリーブ)、防風のアウターレイヤー(ウインドブレーカー)。気温5℃以上ならアウターなしで走れるランナーも多いです。手袋とネックウォーマーは体感温度を大きく変えるアイテムなので、冬の朝ランには必須です。耳が冷えるとパフォーマンスが落ちるため、ヘッドバンドやビーニーもあると快適です。
春秋の朝ランは気温差に注意|ウインドブレーカー1枚で対応する
春(3〜5月)と秋(10〜11月)は朝ランに最適な季節ですが、朝晩の気温差が10℃以上になることがあります。走り出しは10℃で肌寒くても、日が昇ると20℃近くまで上がるため、脱ぎ着しやすいウインドブレーカーが重宝します。軽量で腰に巻けるタイプ(100g以下)を1枚持っておくと、年間を通じて使えます。
花粉シーズン(2〜5月)は、花粉症ランナーにとって朝ランのハードルが上がります。花粉の飛散量は昼前後にピークを迎えるため、実は早朝(6時前)は比較的少ない時間帯です。マスクやサングラスを併用し、帰宅後すぐに洗顔・着替えをすれば、症状を抑えながら走ることは可能です。
- ☑ 通年:GPSウォッチ or スマホ、反射材(暗い時間帯)、家の鍵
- ☑ 夏:水分(300ml以上)、メッシュキャップ、日焼け止め
- ☑ 冬:手袋、ネックウォーマー、ヘッドバンド
- ☑ 春秋:薄手ウインドブレーカー、花粉対策(マスク・サングラス)
意外と知られていない「朝ラン×睡眠の質」の好循環メカニズム
朝の光が体内時計をリセットし、夜の入眠を早める
早朝ランニングの隠れたメリットの1つが、睡眠の質の改善です。朝に太陽光を浴びると、脳内のメラトニン分泌が一旦抑制されます。そしてその約14〜16時間後にメラトニンが再び分泌され始め、自然な眠気が訪れます。つまり朝6時に太陽光を浴びれば、夜20〜22時に自然と眠くなるサイクルが作られるのです。
実はこれが、早朝ランニングを続けると「早起きが苦にならなくなる」理由でもあります。朝走る→夜早く眠れる→翌朝自然に起きられる→また走る、という好循環が生まれます。逆に夜ランは交感神経を刺激して入眠を遅らせるリスクがあるため、睡眠の質という観点では朝ランに軍配が上がります。
走る時間帯と睡眠時間のベストバランス|6時間未満は逆効果
朝ランのために極端に早起きして睡眠時間を削るのは本末転倒です。睡眠時間が6時間未満の状態で運動すると、コルチゾールの過剰分泌、免疫力の低下、筋肉の回復遅延が起こり、ケガのリスクが高まります。スポーツ科学の分野では、成人アスリートの推奨睡眠時間は7〜9時間とされています。
朝5時に起きて走りたいなら、逆算して夜22時には就寝する生活設計が必要です。「早起き」だけに注目して就寝時間を変えなければ、慢性的な睡眠負債が蓄積します。まずは就寝時間を30分早めることから始め、2週間かけて目標の起床時間に近づけていくのが、体への負担が少ないアプローチです。
昼寝(パワーナップ)との組み合わせで午後のパフォーマンスを維持する
朝ランを導入すると、午後に眠気が来やすくなる人がいます。これは体が「朝に運動するリズム」にまだ適応していないためで、2〜3週間で慣れるのが一般的です。それでも午後の眠気が続く場合は、昼食後に15〜20分のパワーナップ(短い昼寝)を取り入れると、午後の集中力が回復します。
ポイントは20分以上寝ないこと。30分以上寝ると深い睡眠に入ってしまい、起きた後にかえってだるくなります(睡眠慣性)。また、15時以降の昼寝は夜の入眠を妨げるため避けてください。スマホのタイマーを20分にセットし、デスクに突っ伏す程度で十分効果があります。
朝ランを始めて最初の1〜2週間は日中の眠気との戦いになりがちです。しかし体内時計が朝型にシフトすると、22時頃に自然と眠くなり、目覚ましなしで5時に起きられるようになるランナーが多いです。最初の2週間を乗り越えるかどうかが分かれ道。無理に毎日走ろうとせず、週3回から始めるのが継続のコツです。
三日坊主を卒業する朝ラン継続のコツ|習慣化は「前夜の準備」で決まる
ウェアとシューズを玄関に置いて寝る「前夜セット」の威力
朝ランが続かない最大の理由は「布団から出られない」ことです。意志の力に頼るのではなく、行動のハードルを物理的に下げる仕組みを作りましょう。最も効果的なのは、前夜にウェア・シューズ・GPSウォッチ・鍵をすべて玄関にセットしておくこと。起きたら着替えて靴を履くだけで外に出られる状態を作ります。
これは行動科学でいう「実行意図」と「環境デザイン」の応用です。「明日の朝は走る」という漠然とした決意よりも、「5時にアラームが鳴ったら、玄関のウェアに着替えて、家の前の道を右に出る」と具体的に決めておくほうが実行率が格段に上がります。最初は走らなくても、「ウェアに着替えて外に出る」だけを目標にすればOKです。
SNSやランニングアプリの「記録共有」がモチベーションになる理由
Stravaやナイキランクラブなどのランニングアプリには、走った記録をSNSでシェアする機能があります。「朝5時に走った」という事実を公開することで、自己効力感(やればできるという感覚)が高まり、継続のモチベーションにつながります。Stravaのセグメント機能で近所のランナーとタイムを比較するのも、良い刺激になります。
ただしSNSへの投稿が目的化してしまうと、走れなかった日に罪悪感を感じてしまい逆効果です。あくまで「自分のログ」として記録し、たまに見返して成長を実感するくらいのスタンスがちょうどいいです。週単位・月単位の走行距離の推移を眺めると、着実に距離が伸びていることに気づけるはずです。

「腕をもっと振って」「骨盤を前傾させて」——ランニングフォームのアドバイスはネット上にあふれていますが、全部を同時に意識して走れる人はいません。それどころか、意…
雨の日の代替メニュー|室内でできる30分トレーニング
朝ランの習慣が途切れる大きな原因が雨です。「今日は雨だから休み」が3日続くと、そのまま走らなくなるパターンは多いです。雨の日は室内で体幹トレーニングやストレッチに切り替えましょう。プランク60秒×3セット、スクワット20回×3セット、ランジ左右10回×3セットで約20分。これだけで脚力維持と体幹強化ができます。
もう1つの選択肢は、雨でも走ること。小雨程度なら撥水性のあるウインドブレーカーとキャップがあれば問題なく走れます。路面が滑りやすいためペースは普段より10〜15秒/km落とし、足元のグリップがしっかりしたシューズを選びましょう。雨の中を走り切った達成感は晴れの日以上です。ただし雷雨や台風時は絶対に外出しないでください。
「週3回・20分」から始めて月間100kmに到達するロードマップ
いきなり毎日走ろうとすると、体も心も疲弊して長続きしません。最初の1ヶ月は週3回・1回20分(約3km)を目標にしましょう。月間走行距離は約36km。2ヶ月目に週4回・30分(約5km)に増やせば月間80km。3ヶ月目に週4〜5回・30〜40分で月間100kmが見えてきます。
走行距離の増加は「前月比10〜15%以内」が安全とされています。急に距離を増やすと、シンスプリントや膝の痛みなどのオーバーユース障害が出やすくなります。体に違和感があれば迷わず休養日を設ける勇気も大切です。3ヶ月続けば朝ランは「歯磨きと同じレベル」の習慣になっているはずです。
まとめ|早朝ランニングは正しい準備で最高の朝習慣になる
早朝ランニングは、脂肪燃焼・メンタルの安定・睡眠の質の向上・仕事の生産性アップと、多方面にメリットがある習慣です。ただし起床直後の体はデリケートな状態にあるため、「水分補給→軽食→ストレッチ→ウォーキングスタート」の準備を省略しないことが、安全に続けるための大前提です。
この記事のポイントをまとめます。
- 起床直後は血糖値が低く、脂肪をエネルギー源として優先的に使いやすい。5km以下なら空腹でも走れるが、それ以上はバナナ1本程度の軽食を
- 起床後すぐに走るのは危険。水分補給・ストレッチ・ウォーキングの準備に15〜20分かける
- 朝日を浴びながら走ることでセロトニンが分泌され、集中力と睡眠の質が向上する
- 初心者は週3回・3kmから。ペースはキロ7分30秒〜8分で「会話できる速さ」が目安
- 夏は早朝でも湿度が高く熱中症リスクあり。冬は「走り出して10分後に快適」な薄着が正解
- 朝ランの睡眠の質への好循環は、14〜16時間後のメラトニン分泌サイクルによるもの
- 継続の最大のコツは「前夜にウェアとシューズを玄関にセットする」こと。意志力より環境設計
最初の一歩は、明日の夜にウェアとシューズを玄関に並べておくだけです。翌朝、着替えて外に出たらまずは5分歩いてみてください。走らなくても大丈夫。外に出た時点で、あなたはもう朝ランナーの仲間入りです。焦らず2週間続けてみれば、朝の空気の気持ちよさと、走った後の爽快感が手放せなくなるはずです。
※記事中のスペック・データは執筆時点の情報です。最新情報は各メーカー・公的機関の公式サイトでご確認ください。

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